【校長室より】RBGの死
更新日時:2020年9月28日
RBGの死
RBGとして全米に知られているリベラル派の最高裁判事のルース・ベイダー・ギンズバーグさんが18日に87才で亡くなったというニュースが入ってきました。彼女は現在いる9名の最高裁判事の一人であり、彼女の死によってリベラル派の判事は4名から3名に減ることになり、後任選びが大統領選前か後かによって民主党、共和党支持のバランスが崩れるとして国民の注目が集まっているといいます。(前回のRBGの記事はこちら)
ギンズバーグのことは、彼女の半生を描いた映画『ビリーブ:未来への大逆転』(2019)とRBGのドキュメンタリー映画『RBG: 最強の85才』(2019)を取り上げたときに詳しく解説しましたので、ここでは簡単に触れておきましょう。
今から50年前の1970年代、女性はまだ自分の名前ではクレジットカードが作れなかった(結婚前は親、結婚後は夫の名前でしかクレジットカードは持てなかった)時代にハーバード大学法科大学院を卒業したギンズバーグは、夫の理解もあり、人工中絶是非や同性婚など女性や少数派の権利擁護に努めました。彼女は1993年、当時のビル・クリントン大統領に指名され、女性として2人目の最高裁判事に就任しました。この職務は終身制のため
亡くなるまで現役でアメリカ女性たちのアイドルとして、Tシャツやコーヒーカップなど様々なグッズも作られ、本名よりも名前のイニシャルで呼ばれるほど人気者になりました。Newsweek誌によれば、民主党副大統領候補であるカマラ・ハリス上院議員の談話として、
「新大統領が就任するまで、私の後任を決めないように」(“not to be replaced until a new President is installed.”)というRBGの遺言を支持すると伝えています。
トランプ氏はすでに最高裁判事候補として、連邦高裁判事に指名した保守派の女性判事エイミー・コニー・バレットの名前を公表しており、仮にトランプ氏が大統領選に再選された暁には、男女比は6対3で変わらないものの、保守派が6名と圧倒的に強くなることが懸念されているということです。バレット氏は人工中絶やオバマケア(医療保険制度改革)に反対の立場をとる保守派。48歳の彼女が就任すれば9人の最高裁判事の中でもっとも若い判事となります。
そして9月26日、米メディアによればトランプ大統領はバレット氏を最高裁判事に指名したことが伝えられました。