大妻多摩が誇る教育
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【9】線は、僕を描く
2020/04/25
著者:砥上裕將 出版社:講談社
大学生の霜介は、バイト先で水墨画の大家である篠田湖山と出会う。なぜか「弟子にする」と言われ、流れのままに修行を始めた彼は、描くことを通じて様々な人たちと出会い、自分の心と向き合うことになる。
☆☆☆湖山先生以外にも次々と登場する水墨画家=絵師(えし)。そのキャラクターは容姿や話し方に加えて、画風や作品でも表現されます。水墨画がどんな風に描かれるのか、技術とその効果などが詳しく書かれているのは、著者自身がプロの絵師だからでしょう。さし絵はありませんが、文章からイメージをふくらませて読む楽しみがあります。装丁に、著者の作品が使われています。
湖山先生はなぜ、水墨画の知識のない、また興味もなかった霜介を弟子にしたのか、終盤に明かされるそのわけを、ぜひ読んで欲しいです。