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#15 イスラム教について①【トルコ滞在記】

更新日時:2022年10月17日

#15 イスラム教について①【トルコ滞在記】

イスタンブールで最も有名なブルーモスク



#15 イスラム教について① (2014年7月1日)

6月28日から7月28日まで、世界中のイスラム教徒のあいだで「ラマザン」(断食月)が始まりました。日本ではラマダンと表記されることも多いのですが、トルコ語では「ラマザン」と言います。
ラマザンについては詳しくは次回に譲るとして、今回から「イスラム教」についてお話しします。
 
日本では「イスラム(イスラーム)」というと、過激な思想だとか、イスラム教=テロとか、偏ったイメージを持っている人が少なくありません。現在、世界の約20%はイスラム教を信仰する人々で、この割合は今後もっと増えていくものと推測されています。日本の旅行業界やホテル業界でもイスラムの人々を意識した戦略をとるところも増えてきました。
「イスラム」とはもともとは「神の教えを絶対的に信じ、よりどころにすること」という意味を持ちます。
イスラム教では神は唯一「アッラー」があるのみで、全知全能の神とされています。よく耳にするイスラム教の開祖「ムハンマド(マホメット)」は神ではなく、あくまで人間。アッラーの言葉を伝える預言者です。

そしてイスラム教の聖典が『コーラン(クルアーン)』です。ここにはムハンマドが神から受けた啓示や日常生活で守るべき規範等が書かれていて、イスラムの人々はとても大切にしています。イラクやアフガニスタンに駐留していたアメリカ兵が『コーラン』に放尿するなどの侮辱行為をし、イスラム世界で大変な反発が起きたニュースがありましたが、それだけイスラムの人々にとっては生活に根差した大切なものなのです。
 

ジャーミィの周辺では様々なデザインのコーランを販売
 

『コーラン』の信仰を簡単にまとめた言葉に「六信五行」というものがあります。
六信は、唯一神(アッラー)・天使・啓典(『コーラン』)・預言者・来世・神に定められた運命を信じなさいというもの。五行は、信仰告白・礼拝・断食・喜捨・巡礼を義務として行いなさいというものです。
今週から世界中のイスラム教徒の間で始まる「ラマザン」はこの五行の中の断食と喜捨の実践なのです。
イスラムの教えは、生活規範的な面も多く、その大部分は日本人の道徳観念とも重なる部分は多いのです。決して「異教徒を殺せ!」的な考え方ではないのです。
 

一日5回の礼拝も五行のうちのひとつ
 

イスラム教にも仏教と同じようにいろいろな宗派があります。仏教もインド・中国・日本ではあり方が異なるように、イスラム教も広まった地域ごとにその土地の文化も吸収して、あり方は様々です。
世界に広がるイスラム教には、どの地域であっても変わらない普遍的な部分と、その地域独自の文化を吸収した部分とがある。そういったことも忘れてはいけないことだと、イスラム圏にいると感じます。
 



※本連載は、2014年~2015年にかけて掲載していた記事の復刻になります。
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