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#13 サッカーworld Cupに寄せて【トルコ滞在記】

更新日時:2022年10月5日

#13 サッカーworld Cupに寄せて【トルコ滞在記】

ガラタサライのロゴ(フリー素材)



#13 サッカーworld Cupに寄せて (2014年6月19日)

サッカーのワールドカップが開幕しました。
日本での国民的スポーツと言えば野球ですが、トルコではサッカーです。(トルコでは野球人口はほとんどなく、球場も探すことはできません。やっている人がいるとすれば大学から少数いるくらいだとのこと。)

トルコ人はサッカーが大好きです。みな必ずお気に入りのチームがあります。最も人気があるのはガラタサライでしょうか。私が住んでいる家の裏はサッカーの有料練習場になっていて、ほぼ毎日深夜一時ごろまで練習をしている声が聞こえてきます。私の家の半径500mを見ても、サッカーの練習場が3~4か所あるほどです。

そんなトルコですが、今回のワールドカップにはトルコは進むことができませんでした。しかし、毎日熱心にワールドカップを見ています。

日本でも大いに話題となった開幕初戦の日本人審判のジャッジは、トルコ人でもミステイクだと言う人がいます。ブラジルの2回戦の審判はトルコ人のジュネイト・チャクルでしたが、トルコ人がワールドカップの審判を務めるのは1974年大会以来、40年ぶりのことです。

さて、日本の第2戦の相手はギリシアですが、トルコ人に聞くとみな「もちろん日本を応援する」と言う人が多いです。以前にお話ししたようにトルコは親日的な国ですし、トルコとギリシアの間には歴史的な確執があって、今でも仲がいいとは言えません。

トルコの首都イスタンブールは、1453年までビザンティン帝国の首都コンスタンティノープルでしたが、その中心民族はギリシア人でした。1000年以上ギリシア人が中心だった都をトルコに奪われたのです。そして第一次世界大戦後にはギリシア軍がトルコ領内に侵入し、トルコの独立を脅かしました。その窮地を救ったのが、トルコで現在でも尊敬されているケマル・アタテュルクです。

ギリシアでは、歴史の教科書にも「野蛮な」トルコ人が…というような記述があるようですし、ユーロ危機以降、何かあると「すべての原因はオスマン帝国にある」と言うギリシア人も多いようです。隣国と仲が悪く、何でも隣国のせいにする国は日本の近くにもありますね。

世界のいろいろな国を訪問すると、いろいろな歴史的経緯からいろいろな感情を持つことが分かります。人類みな兄弟は理想としてはいいとしても、現実にはそうではないことが異国に来ると身をもってよく分かります。 とにかく、少なくとも次回の日本VSギリシア戦は、日本の方を応援するトルコ人が多いことでしょう。もっとも多くのトルコ人はその時間、眠っているでしょうけれど。

 

※本連載は、2014年~2015年にかけて掲載していた記事の復刻になります。
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