#10 あるシリア人との出会い【トルコ滞在記】
更新日時:2022年9月28日
ターミナルなどの路上ではシリア人親子をよく見かけます
#10 あるシリア人との出会い (2014年6月6日)
現在、シリアからの難民はトルコ全土に約100万人いて、イスタンブールには約4万人がいるそうです。彼らが赤ん坊や幼い子供を連れて、路上で物乞いをしている姿をイスタンブールでもしばしば目にします。(だからと言って彼らが治安上の大きな問題になっているわけではありません)
先日、エディルネという街へ行こうと、大きなバスターミナルへ行った時のこと。
一人のシリア人男性が話しかけてきました。最初は旅行者に近寄ってくる悪意ある人間かと警戒したのですが、普通に話を続けるだけの様子でしたので、少し気を許し、こちらも話に付き合いました。
聞くところによると、彼は両親と兄弟をシリアの内戦で亡くしたということでした。彼はシリアを脱出しましたが、子供二人はまだシリアの安全な場所にいるそうです。子供を連れて国外脱出をするのは難しいのだと言っていました。
なぜこんな場所にいるのか聞くと、イタリアからバスでここに到着したのだ、仲間を頼ってトルコまで来たと。携帯もイタリアで手に入れた携帯で、トルコでは使えないし、いつその仲間と会えるのか分からないようでした。お金もなく、食料もなく、まして仕事もないと言って、彼は悲嘆に暮れている表情でした。
(こういう話をして最後にお金をくれと言われるのではないかと一方では警戒していましたが、彼は最後までそんなことは言いませんでした。実際、中にはシリア人を装って、お金を恵んでもらおうとする人たちもいたりするんですよ。)
左の女の子はカメラを向けると写りたがって来ましたが…
直後に警察が来てこの場から排除してしまいました。
彼は内戦の前は船員をしていたということです。「ギリシア船籍のタンカーで、サウジアラビアから横浜まで行ったことが2回ある、日本は美しい、日本人は平和で静かで賢く、日本人を尊敬している」と言っていました。
さらに彼はシリアの状況や内戦の経緯を話してくれましたが「この状況がいつ終わるのか分からない」と言っていたのが一番印象的でした。
余談ですが、彼は「欧米はクソだ(bull shit!)」とも言っていました。「アメリカは石油とお金が好きなだけ。あとイスラエルも。」
トルコ人と話していると、アメリカ嫌いな人が多いのですが、トルコに限らず中東ではアメリカを好きではない人は結構いますね。中東の国々とアメリカとの歴史を見れば、分からないことではないのですが。
日本人はアメリカに好意的な人は多いですが、なぜ中東の人々はそうではない人が多いのか、それを勉強することも国際理解のひとつであり、欧米中心の価値観から離れて見てみるということなのだと思います。もちろんシリア内戦もそこに関係してきます。
※ちなみに今週発売のNewsweek日本版にもトルコに逃れてきたシリア難民の子供の人身売買の記事が出ています。関心のある方は読んでみてください。