教員つれづれ草 250段
更新日時:2019年8月8日

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教員つれづれ草 250段
高校生の時、授業中に内職をしてしまったことがあった。その時、夢中になって読んでいた夏目漱石の『ここ ろ』を隠れて読んでいたのである。もちろん先生に見つかってしまい、「やばい怒られる!」と思った瞬間、先 生はニコニコ笑いながら、私が持っていた本を奪い取り、
「『こころ』か、今どの場面読んでんねん......」 と確認をし、なんとその後、10分間その場面から最後まで、いかに面白いかストーリーをみんなに語り聞かせたのである。私に対する見事な制裁である。特に怒ることもなく、けっきょく私は、その後の楽しみを奪われた形となった。
ウィットに富んだ対応! また、それを可能とする教養。それでいてしっかり懲らしめる。こんなことをやってのける教員になりたいと思いつつも、まず怒って注意してしまう自分井の中の高野聖の底の浅さを嘆くばかりだ。
ちなみに、この先生は世界史の担当だった。私は関西人である。
井の中の高野聖