【高2】タンザニアでの体験を綴った小論文が「高校生小論文コンクール」最優秀賞を受賞しました
更新日時:2026年1月26日
高校2年生 A.Sさんが「沖永荘一博士記念大賞」を受賞しました
この度、本校高校2年生のA.Sさんが、公益財団法人 生涯学習振興財団主催・読売新聞社共催の「第27回 高校生小論文コンクール」(外部サイト)において、最優秀賞にあたる「沖永荘一博士記念大賞」を受賞しました。
A.Sさんは、本校での学びや模擬国連への参加をきっかけに、国際ボランティア組織「プロジェクトアブロード」の活動を知り、単身タンザニアでのボランティア活動に身を投じました。今回の小論文では、現地での実体験を通じて得た葛藤や気づきが、力強く綴られています。
今回の受賞は、本校が大切にしている三つの理念を体現化した結果でもあります。 自らの意志で道を切り拓く「自立自存」の精神、異なる文化や価値観を受け入れる「寛容と共生」の心、そして遠く離れた地のアフリカを自分事として捉える「地球感覚」。
困難な状況下でも一歩前へ踏み出し、思考を深め続けたA.Sさんの努力に敬意を表するとともに、この喜びを学校全体で分かち合いたいと思います。
A.Sさん、本当におめでとうございます!
これからのさらなる飛躍を、心より応援しています。
「タンザニアで見た命の現実と、私が目指す国際医療の道」
大妻多摩高等学校 2年 A.S
クラーク博士の「少年よ、大志を抱け」という言葉は、単なる標語ではなく、生き方そのものを示す道標だと私は感じている。私の「大志」は、タンザニアでの体験を通して、はっきりと形を備え始めた。幼少期にアメリカの多様性に満ちた環境で6年半を過ごし、トルコやイギリスを訪れたことはあったが、アフリカの大地に立つのは初めてだった。未知の文化への興味もあったが、心の奥底で一番強く思っていたのは、発展途上国の医療現場を自分の目で確かめ、命の現実に直面したいという気持ちだった。
私は「国際医療」に携わる医師になりたいと考えている。なぜなら、命の重さは国によって変わるものではないにもかかわらず、現実には誰もが十分な医療を受けられるわけではないからだ。特に、基礎的な医療や病気の予防が行き届く環境を整えることは、世界中の命を守るために欠かせない。もちろん、先進国の医療を一方的に導入すれば、その地域固有の文化や価値観を損なう危険性もある。しかし、命がなければ文化も未来も存在し得ない。だからこそ私は、まず命を守ることを最優先にしつつ、文化や地域性を尊重しながら医療を届けたいと決意している。
タンザニアの病院で目にした光景は衝撃的だった。麻酔もなしに歯を抜く患者。痛みに耐え、震える手で治療を受ける人々。薬や器具が足りず、医師たちが何度も苦渋の決断を迫られる姿。20キロも歩いて診療を受けに来る患者もいた。日本では予防や治療が可能な症状でも、ここでは何もできない。命の重さはどの国でも同じはずなのに、環境の差が命の行方を左右している現実に、胸が張り裂けそうになった。
それでも、絶望だけではなかった。孤児院で子どもたちに歯磨きを教えたり、生理についてのプレゼンを行ったりしたとき、緊張していた彼らの顔が少しずつほころび、笑顔がこぼれた瞬間、胸の奥が熱くなった。知識を伝えることで、病気を防ぎ、自信を取り戻す力になる――その瞬間、私は「医療は治療だけではなく、教育や啓発も含むものである」という真実に触れた気がした。
一方で、自分の無力さも痛感した。医学生の仲間が手術を手伝い、高校生でさえ医療機器の扱いに精通している姿を目の当たりにし、悔しさと焦燥感で胸がいっぱいになった。私はもっと学び、もっと自分を鍛えなければならない。心の底からそう思った。
この体験を通して、私の将来像は鮮明になった。医師として国際医療に携わり、教育や生活環境の改善も組み合わせる活動を行いたい。将来的には「医療と教育とを結ぶNPO」を設立し、援助する側・される側ではなく、共に未来を築く仲間として歩むことを目指している。「世界中どこにいても、誰にでも、基礎医療と予防医療を」という未来を目指し、まずは学校での募金活動など、目の前の小さな一歩から始めたい。
タンザニアで感じた悔しさ、喜び、希望――そのすべてが、私にとってかけがえのない原点だ。クラーク博士の言葉を胸に、私は「国際医療と教育とで世界の命を守る」という大志を抱き続ける。帰国後、医学部受験に向けて勉強を再開し、募金活動を実現するための企画書も作成している。小さな一歩でも積み重ねれば、必ず未来は変えられると信じている。
今、日本に戻り、自分の環境を改めて振り返ると、胸に深い感謝の思いがあふれる。必要なときに治療を受け、教育を受けられることが決して当たり前ではないことを実感する。だからこそ、この環境を最大限に生かして学び、将来は医師として国際的に活動できる人材になりたい。
私の大志は「国際医療と教育とで世界の命を守る」である。その志を胸に、私はこれからも学び続け、行動し続ける。