OTSUMA TAMA Junior and Senior High School

学校生活

【中3】中学卒業研究①【2019年度】

更新日時:2020年3月20日

【中3】中学卒業研究①【2019年度】

中学3年生(33期生)

中学卒業研究①

 中学3年生は、今年度1年をかけて自身の興味・関心のあるテーマに沿って探究活動を行い、卒業研究論文を作成しました。

 提出された卒業研究の中から、内容のまとまりとオリジナル性が特に評価できるものとして、校内で最優秀賞1名、優秀賞2名、優良賞2名、佳作2名が選ばれ、修了式で表彰されました。

 今回は、最優秀賞と優秀賞を受賞した生徒に改めて執筆してもらった研究概要をご紹介します。

◎ 最優秀賞

  「女子は医師に向いていないのか~不正入試から考える女性医師の存在~」

 2018年8月、私は日本の大学の一部の医学部入試試験において女子受験者を減点したり男子受験者に得点を加えていたというニュースを耳にして、医師を志す人のスタートラインは女子に不利なかたちになっているという現実を知りました。そのことから、私は「女子は医師に向かないのか」と疑問に思い、それについて自分なりの結論を出すことにしました。

 不正入試の実態について、新聞記事等により調べていくと、医学を志す権利は受験者全員が性別関係なく平等に持っているのだから、男女不平等な不正入試はあるべきではないと思うようになりました。では、どうしたら「女子は医師に向いている」といえるだろうと考えていたとき、医師への道を切り開いた女性たちの存在を知り、文献だけでなく、二つの記念館を訪問することにより調査をしました。そして、日本でも海外でも、男子優位が当たり前の時代に女子が医師を目指すための道はほとんど無く、自分でその道を作っていかなければならない環境だったことを知り、それでも彼女たちが医師になろうとするのは、「女性医師には必要性がある」といえる経験を彼女たちが経て、それを確信していたからだということに気付かされました。

 よって私は、女子が医師になることが認められていなかった時代もそして今も女性医師は必要とされているということを根拠に、「女子は医師に向かないのか」という疑問に対して「女子は医師に向いている」という結論を出しました。

 私はこの卒業研究を通して多くのことを学び、私自身も1人の人間として将来どのように世の中に貢献できるのかを考えさせられました。人の役に立つために自分に何ができるのか、今回学んだことを生かしてこれからも考えて生きていきたいと思います。



◎ 優秀賞 

  「これからのロボット・AIに求められる素質とは?」

  現代、機械化が進む中で、ロボットやAIとどのように付き合っていくべきか。それは他人事ではなく、私たちの将来において重要な問題となります。私は、今後の私たちとロボット・AIの付き合い方について自分なりのはっきりした答えを出し、これからのロボット・AIに求められる素質について考えを深めたいと思い、このテーマに決めました。

 そこで、現代と未来、人間が開発したいロボット・AIとの違いを表に整理し、比較してみました。現代、開発されているのは、具体例で言えば将棋AI、工場ロボットなどです。対して人間が未来に開発したいロボット・AIとは、具体例で言えばドラえもんなのではないかということが分かりました。しかし、ドラえもんがいたら、私たちは本当に生活が豊かになるでしょうか。私は、未来の人間がドラえもんを開発したら、私たちの存在意味がなくなってしまうのではないかと考え、将来人間とAIが共存するならば、これから開発がのぞまれるのは「機械的作業・学習能力はあるが応用力・感情はない」現代型のAI・ロボットであると結論づけました。つまり人間がロボット・AIと共存するためには、人間が彼らをコントロールすることが必要なのだと考えました。

 しかし、これから時代が変わってく中で、未来どんなロボット・AIが開発されるのか、どんな時代が訪れるのかは、実際のところ誰にも分かりません。今回の研究にとどまらず、今後もロボットやAIが進化するにつれて、自分なりにもっと勉強して未来の世界を想像し、自分の意見を述べていきたいと思います。

  

◎ 優秀賞 

  「なぜ核兵器はなくならないのか」

 私は被爆三世です。母方の曾祖母、祖父が被爆しました。曾祖父は原爆のせいで亡くなったそうです。長崎を訪れるたびに、原爆の話を聞いて育ち、原爆資料館に何度か行ったことがあったので、核兵器の悲惨さは子供の私でも理解しています。それなのに、世界には核兵器を保有したり、開発している国がいくつもあります。なぜ、核兵器はなくならないのか、と疑問に思いました。まずは核兵器とはどういうものかを知り、なぜ核兵器がなくならないのかを考えてみることにしました。長崎と広島の原爆資料館、遺構を訪ね、核兵器関連の本を読んだり、核開発についてのテレビ番組を見て、情報を集めました。

 その結果、核兵器がなくならない理由として、①核兵器解体にはたくさんの負担がかかるため、②自国の安全を守るため、③お互いを縛り付け、戦争が起こらないようにするため、という3つの理由がある事が分かりました。

 今日、原子力は核兵器だけではなく、発電などに利用するなどの平和利用がされています。しかし、チェルノブイリや福島の原発事故で甚大な被害をもたらしたように、原子力は人々の生活を豊かにする反面、使い方によっては、人類を滅ぼしてしまうほどの力もあります。そのようにならないために、科学は人を傷つけるためのものではなく、幸せにするためのものだということを科学者や政治家だけではなく、全人類が理解することが大事だと思います。そのために、広島、長崎で起こった悲劇、チェルノブイリや福島での事故を風化させず、このような出来事がいつ起こってもおかしくないという危機感を常に持ち、その道に進まないためにはどのようにすればいいのかということを考え続けなければいけないと思います。

 長崎の原爆資料館の入り口には、「長崎を最後の被爆地に」という言葉が刻まれています。現時点では長崎は最後の被爆地ですが、将来、どこかの都市に核兵器が落とされた場合、長崎は『最後の被爆地』ではなくなってしまいます。「長崎を最後の被爆地に」という言葉は『未来』に向かっている祈りの言葉です。「長崎を最後の被爆地に」という言葉がずっと守られるように祈っています。