OTSUMA TAMA Junior and Senior High School

学校生活

【中3】平和学習の総まとめ「私の主張」

更新日時:2021年12月4日

【中3】平和学習の総まとめ「私の主張」

中学3年生(35期生)

平和学習の総まとめ「私の主張」

中学3年生の社会探究では、9月から平和学習をすすめてきました。


「平和とはどのような状態か」「戦争はなぜなくならないのか」
「日本は被害者なのか、加害者なのか(原爆の被害と731部隊による人体実験の両面から)」

2学期いっぱいをかけて行われるこの平和学習の総まとめとして、自分の意見を演説してもらうのが「私の主張」です。


5分間、一人でのスピーチということで緊張した様子も見られましたが、「日本はなぜ核兵器禁止条約に調印しないのか」「第三次世界大戦の可能性について」など、聞き応えのある演説が多くありました。


今年度はコロナ禍の影響で3学期に修学旅行が行われます。
現地では学べること・体験できることがたくさんあります。
ぜひ、「平和」と「戦争」について他人事ではなく自分事として考えきてもらいたいと思います。



とある生徒が書いた「私の主張」全文1

みなさんは731部隊が行った人体実験について詳しく知っていますか。
関東軍防疫給水部本部、通称731部隊は兵士の感染症予防や安全な給水システムに関する研究を行っていました。しかし、それは表の顔で、裏では人としての道義に背いた残酷な人体実験を繰り返していました。それによる被害者は約3000人にものぼります。今日は私が調べた中で人体実験の実情について主に2つ紹介したいと思います。


1つ目は「細菌爆弾」の検証のための人体実験です。敵を感染症に感染させる細菌爆弾の開発は731部隊の任務のひとつで、彼らは開発した爆弾を中国人やロシア人の「マルタ」と呼ばれる捕虜を使って爆弾の威力を確かめていました。具体的には屋外にある実験場の杭に捕虜たちをくくりつけ、近くで細菌爆弾を爆発させ強制的に感染させ、どのような傷で感染するのかや身体の変化を記録したりしていました。実験が終わったあとは捕虜たちは治療などは全くされず、ほぼ全数週間以内に亡くなりました。

2つ目は生理学的な実験です。人体を極限まで破壊するとどのくらい持ちこたえる事が出来るのかなどを調べるために、毒ガスを吸入させたり、血液を抜いて失血死させたり、感電死させるなどといったことを行っていました。なかでも、特に熱心に研究されていたのは凍傷実験で、零下20度の塩水に指をつけさせ、皮膚の温度と容積の変化を観察していました。この実験はただ凍結するだけではなく白く完全に凍結するまで行っていました。


なぜこのようなことが行われてしまったのでしょうか。それは「国のために戦い勝利する」そのためには何をしても良いという考え方があったからです。また、その考え方から実験への参加を拒否すると非国民だと罵られることは珍しくはなかったため、人体実験にやむなく参加してしまった医師たちも多いそうです。わたしは人体実験などの絶対に許されない残酷なことでさえも戦時中では正当化されてしまうことに恐怖を感じます。


みなさんもご存知の通り、人体実験を行ったことによる被害はたくさんあります。実験の対象になった人々への身体的、精神的苦痛、当時731部隊にいた少年兵などの価値観を変えてしまったこと、やむなく731部隊に赴いた医師たちに一生消えない後悔の念を抱かせたこと、たくさんの人々にトラウマを植え付けたことです。


私はここまでして戦争に勝とうとする理由が分かりません。そもそも戦争に勝つことでのメリットはあまりありません。戦争賠償も国としての名誉も人の命や自由と比べたらどっちが大切かなんていちいち問わなくてもわかるはずです。非人道的なことも当たり前の認識にしてしまう状況を作る可能性のある戦争は二度と起こってはならないと思います。また、わたしは日本の教育で731部隊のような自国が行った残酷な行為について教えないようにしているように感じています。平和学習がなければ、わたしはこのことについて知らなかったかもしれないと思うと複雑な気持ちになります。この現状は過去の出来事を振り返ろうとすることの妨げになりかねないので、変えなければならないと考えます。私は、戦争や人体実験を昔のことだから自分には関係のない話といって目を瞑ったままでは、戦争は繰り返され、苦しい思いを経験し続けることになると思います。誰もが過去の残酷な出来事にしっかりと目を向け、事実として受け止めようとし、次はないようにするために何ができるか考えることが平和への第一歩になると信じたいです。


とある生徒が書いた「私の主張」全文2

「なぜ戦争がなくならないのか」


原因の1つ目は、人間の悪なる理性と感情です。理性とは物事を理屈っぽく判断することです。理性は良い方向に物事を動かす時もあります。しかし、妬み、怒り、焦り、などといった負の感情が合わさることにより、悪知恵などが生まれ、人間の理性が悪い意味で発揮されることがあるのです。

戦争がなくならない理由の2つ目は、多くの企業が戦争によって利益を得ていることです。例えば、アメリカの軍事関連企業「ロッキードマーティン」の兵器売上額は4兆5000億円にも昇ります。つまり、軍需により多くの人の生活が成り立っています。また、朝鮮戦争は日本全体に利益をもたらしました。戦時において軍需は一国の経済を潤すことができるのです。

戦争がなくならない理由の3つめは、食料や資源に関する土地の奪い合いです。古来では、農業に向いている土や水資源を巡って、現在では、鉱物や燃料資源を巡って各国間が揉めています。人が生きていく為には食料は必要不可欠で、農業用地を求めて戦うのは無理もないです。文明が発達すると、今の生活を維持、または向上させるために資源を求めるようになっていきます。食料不足による戦争は今では減りましたが、中国の勝手なガス田開発により資源を巡る戦争の火種になる状況が生まれています。

戦争がなくならない理由の4つ目は、「戦争をしたくない人の分断」です。勿論、戦争をしたい人に比べて、戦争をしたくない人の方が多いです。では、多数決をすれば、戦争はなくなるはずです。なのに、なぜ戦争はなくならないのでしょうか。実は、戦争をしたくない人が「主義主張の微妙な差」や「どれだけのことをやっているか」の違いにより細かな分断を繰り返しています。この理論は不完全かもしれません。なので、もう1つの例を加えて説明します。環境問題の解決に向けて、aさんはマイボトルとマイバッグとマイ箸を持ち始めたとします。bさんは、マイバッグだけを持ち始めたとします。勿論、どちらの方がとかではなく、両方とも素晴らしいことです。そして、進度は違えど向いてる方向はほぼ同じです。しかし、人によってはここでまとまれなかったりします。aさんは自分に比べて取り組みが少ないBさんを認めることはできません。自給自足の生活をしている人と、とりあえず使わない電気を消すことを心がけ始めた人の間でも同じような事が起こる場合があり、結局、環境保全という点では同じなのに、1つにまとまれません。そして、気づけば無数の細かい本当に似た人たちだけのグループに分かれてしまい、もはや、多数決で「戦争をしたい人」に勝てなくなってしまうのです。


これらの理由より、人間の本性や考え方、また、現在の豊かな生活を作った経済が「戦争がなくならない」原因になっていることがわかります。具体的には、他国の領土に勝手に侵入した船に対する権力行使の度合いを高くす。る、それと共に自衛戦争と侵略戦争の違いについての教育をふやす事で権力乱用を防ぐなどの取り組みが必要だと思います。そして、「本当に立ち向かうべきものは何なのか」を常に念頭に置き、目標を見失わずに社会を作り、生きていく必要があります。