OTSUMA TAMA Junior and Senior High School

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【校長室より】ニュースレター「多摩の風」vol.6

更新日時:2022年5月30日

【校長室より】ニュースレター「多摩の風」vol.6


ニュースレター「多摩の風」とは

2021年度から管理職が代わり、本校の多彩な教育活動とその魅力を皆さんに紹介したいと思い、整理・編集したのがニュースレター「多摩の風」です。生徒には紙で配布しておりましたが、校内外問わずご好評をいただいていたので、今年度からはHPでもご紹介する運びとなりました。ぜひ、ご覧ください。(一部内容につきましては、学校生活ブログでも紹介しております。)


PDFとしてのダウンロードはこちらから可能です。(「多摩の風」vol.6)




中1 オリエンテーション旅行

中学1年生は、4月20日~22日に山梨県の富士河口湖畔にて宿泊研修を行いました。この旅行は、入学から2週間の新入生に大妻多摩生としての心構えを学んでもらうこと、クラスや学年の仲間と親睦を深めることを目的としています。オリエンテーション旅行のプログラムは、本校の教育理念である「自立自存」「寛容と共生」「地球感覚」と密接に結びついていることが大きな特徴です。まず初日に行われたNPO法人富士山ネイチャークラブによるプログラムでは、アイスブレイクとしての自己紹介ゲームを行いました。これはすべての誕生月の人と自己紹介をするゲームで、クラスを超えて学年でコミュニケーションが生まれ、大いに盛り上がりました。


その後に行われた「ネイチャーラリー」では、原始の生活を体験しながらグループでポイントを獲得する活動を行いました。やり投げや丸太切り、パチンコで石を飛ばして的当てをするなどの体を動かすものから、「食べられる植物はどれだ?」「これは何の動物の足跡?」「ぴったりの重さのものはどれ?」といった仲間と相談する活動まで、約10種類の活動を通じて仲間との絆を深めることができました。

旅行全体を通じて行われるチームビルディングプログラムは、すべて班員を変えての活動となります。そのため様々な考え方や価値観を持つ仲間と交流を深めていくことができ、お互いの個性を認め合って協力する「寛容と共生」の理念を学ぶことができました。

また、生徒たちは保護者の力を借りずに自分たちの力で集団生活を行います。朝に時間通りに起きることはもちろん、班や部屋における連絡の共有、食事や入浴のマナー、部屋の清掃、お世話になる人への挨拶やお礼など、すべて自分たちから積極的に実践しました。最初は不安げな様子も見られましたが、「自分たちだけでできた」という達成感から自信と自立心がぐんぐん育まれ、2日目にもなると「もっと自分でやってみたい」という積極的な姿勢が多くの生徒に見られ、「自立自存」の理念を実践することができました。

また、座学では2日目に校長先生による大妻コタカ先生の講話とネイチャークラブによる富士山の講話を聞き、3日目はボードゲームを通じてSDGsについて学びました。校長先生による大妻コタカ先生についての講話では、コタカ先生が家出をしてまで学びの道を選んだなどの驚きの事実と共にコタカ先生の人生を学びました。日本の常識の枠組みにとらわれずに「地球感覚」で日本の女子教育を切り開いた生き様から、「学びは広い世界へと自分の道を切り開いていくのだ」という実感を得ることができました。

また、最終日に行われたSDGsボードゲームでは、「SDGsとは何か」という基礎から、「SDGsを自分事として世界と繋がろう」という視点で学んでいきました。その後に行ったボードゲームでは、「エネルギー開発カードを使えば第7の目標『エネルギーをみんなに、そしてクリーンに』という目標の達成に向けて2つ前進するが、その一方で第13の目標『気候変動に具体的な対策を』の達成からは1つ後退してしまう」といったSDGsを相互に関連させて考えるゲームカードが多く混ざっており、「ここはこのカードを使えば良いんじゃないかな」「私とあなたで資金協力して達成しよう」など様々に意見を交換しながら、真剣かつ夢中になってグループでゲームクリア(SDGsの達成)を目指していました。

これらの活動により、自分の活動から広い世界に視野を広げていく「地球感覚」の理念を養うことができました。
旅行後の作文では、「行く前は不安だったけれども、オリエンテーション旅行を通していろんな仲間と絆を深めることができで良かった!」「積極的に行動することができ、自信に繋がった」という声が多く見られました。この旅行で芽生えた絆や、教育理念の実践を通じて得た学びを、これからもっと育んでいきたいと思います。




高1 日本テレビによる出前授業 ~「情報のタネの見つけ方」

5月14日(土)の3、4限に日本テレビによる出前授業が行われました。現在取り組んでいる「探究基礎」(「総合的な探究の時間」)の授業で調査や研究に取り組んでいる生徒たちのために、取材のプロである日本テレビの方に来校していただき、題材の見つけ方、着眼の仕方からそのまとめ方に至るまでを伝授していただきました。「テレビの番組ってこうやって作られていたんだ」という興味深いお話を聞きながら、班になって企画を模擬体験するなど、聞くだけではない有意義な時間を過ごすことができました。

 会の終了後も活発な質問をする生徒がたくさんいて、講師の方々を取り囲んでいました。この日の授業の内容に関するものから、記者の仕事や報道の仕事に関するものまで、熱心に質問している姿が印象的でした。中には取材のカメラクルーの人たちに、上手なカメラワークを伝授してもらっている目の付け所が一ひねりある生徒たちもいて興味深かったです。

 今回得られたノウハウを今後の調査・研究に活かしてもらえたらと思います。






高2「選択生物」~ 野生生物調査

 毎年恒例、高2生物授業GWスペシャル!といいながらGW後の5月9日と10日、生物選択2クラスの2コマ連続授業にて、よこやまの道をトレッキングしながら野生生物調査に出かけてきました。  今年は大人数だったのでいつもよりにぎやかな道中だったせいか、ひょいっと出てくる野生動物は少なかったです。残念。その代わりに比較的じっくり植物にも注目しながらの調査となりました。

 今回出会ったわりと見かけるのが珍しい生物としては、アオゲラ(大型のキツツキ)、ガビチョウ。

一瞬聞こえた声はキジの「ケーンケーンケーン」という鳴き声。キジはここ20年でめっきり少なくなりました。ウグイスやガビチョウやシジュウカラやコジュケイなどの鳴き声は絶えず聞こえてきていました。きっともっと多くの種類の声が耳に入っていたはずですが。そして、見つけた痕跡としては大量のウサギの糞(ウサギの糞は校内の芝生でも必ず見ることができます。昔は暗くなったグラウンドを駆け回っていました)、肉食中心のアライグマサイズくらいの動物の糞、動物がエサをもとめてか土をほじくり返した跡、モグラ塚、ネズミが出入りしていそうな穴。そんなようなものを道中見つけました。

 生徒たちは、もしかしたら何か哺乳類に会えるかも!と期待していたようですが、残念だけどさすがに昼間に、しかもこの大人数でガヤガヤしていたら出てこないよね、となだめながらの道中でしたが、新緑の中を歩いてリフレッシュはできていたようです。そのあとの授業ではだいぶ眠くなってしまったのは、仕方ありません。これから提出されるレポートが楽しみです。






高3 修学旅行

 高校3年生は4月21日から23日にかけての2泊3日で奈良へ修学旅行に行ってきました。もともとの年間行事予定では昨年の10月に4泊5日で奈良・京都を巡る予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の流行のために2月に延期になり、それも行けなくなって今回の日程となりました。本来なら2月に行けなくなった時点で完全に中止になるところでしたが、学年の教員のなんとか生徒を修学旅行に行かせてあげたいとの思いから再度延期して計画を立てることとなり、コロナの流行も少し落ち着きを見せ始めたこともあって、学院から旅行実施の許可を得ることができました。主な見学地は次の通りです。

【第1日】 室生寺、長谷寺
【第2日】 談山神社、安倍文殊院、飛鳥地方サイクリング(石舞台古墳、飛鳥寺など)
【第3日】(各自が選択したコースへ)
      Aコース ・・・ 法隆寺、興福寺、東大寺
      Bコース ・・・ 薬師寺、興福寺、春日大社、東大寺
Cコース ・・・ 秋篠寺、興福寺、春日大社、東大寺
Dコース ・・・ 当麻寺、興福寺、春日大社、東大寺

 京都に行く旅程がカットされた短縮バージョンであったり、楽しいはずの食事も黙食しなければいけなかったりといろいろな制限はありましたが、何はともあれ、行くことができてよかったです。この季節の奈良は、10月の修学旅行では見ることのできない輝くような新緑とたくさんの花に彩られていました。日本の古代文化が花開いた飛鳥・奈良の地を巡る旅。たくさんの世界遺産にふれることもでき、きっと高校時代のよい思い出のひとつになったことと思います。

 ↑ 左から室生寺五重塔、長谷寺のオオデマリ、談山神社十三重塔、安倍文殊院浮見堂






高2 探究コンテストで優秀賞受賞!

 本校では高校1年生の「総合的な探究の時間」で論文作成に取り組んでもらっています。テーマは各自が自由に設定します。高校2年小笠原さんは、昨年度、この論文で取り組んだ成果を「中高生探究コンテスト2021」に応募し、2月の最終選考で見事優秀賞に選ばれました。このコンテストは、自分の好きなこと・ワクワクを究めた「好き部門」と、身の回りや社会の困りごとと向き合った「困りごと部門」の2部門からなっており、最優秀賞が各部門1組に、優秀賞が各部門1組に贈られます。今回は全国から合わせて458組の応募があり、小笠原さんはその難関を突破しての受賞となりました。
 次に、小笠原さんに寄せてもらった文章を紹介します。

 私の探究のテーマは「心地良い【音楽】を【数字】で奏でる」です。
 私には絶対音感があり、幼い頃からソルフェージュを趣味とし、毎日ピアノを演奏しています。また、小学5年生の夏に、今まで嫌いだった数学の問題を解くことを突然楽しいと思うようになり、今でも数学は一番好きな教科です。このように、私の生活と深い関わりを持つ2つには何か繋がりがあるのではないかと興味を抱きました。
今回の探究活動で、私は、作曲を身近なものにするだけでなく、人種、言語が異なる人々と作曲を通じて共に音楽を楽しむ事が出来るようになる自動作曲アプリを作成しました。

 「中高生探究コンテスト」という場で東京大学の教授の方や、情報関連、その他の分野の社長の方々に貴重なアドバイスをいただき、優秀賞をいただくことが出来ました。自分の努力がトロフィーという目に見えるものとなることで、とても励みとなりました。また、他人に自分の発表を聞いていただくことで、自分や周りの人とは異なった視点からの見え方を知ることが出来たため、自分の探究をさらに良いものに作り上げることが出来ました。今回の探究活動により、今後の課題を発見することができ、自分を大きく成長させるきっかけになったと思います。

 
 自分の好きなことを突き詰めていくことによって世界が広がり、さらに成長していけるという感覚をつかめたようですばらしいと思います。
 この探究論文の作成は、高校1年生になって突然始めるものではありません。中学生の皆さんは、これまで自分はどのようなことに興味・関心を抱いてきたのか、将来どのようなことに取り組んでいきたいのかを折にふれて考えながら、授業をはじめとするさまざまな活動に取り組んでください。もちろん、“さまざまな活動”というのは校内の活動に限ったことではありません。自分の進路選択につながるような探究論文のテーマを見つけられるといいですね。






高大連携企画 大妻女子大学の先生による心理学講座

 3月10日に、多摩キャンパス内にある大妻女子大学人間関係学部の心理学の先生方が本校生徒のために3つの心理学講座を開いてくださいました。内容は以下の通りです。


 古田 雅明 先生 「小さな宇宙“箱庭体験”」(写真)
  ・・・ グループで箱庭療法を体験して、表現することの面白さを学びました。
 三好 真 先生 「引っ張らないリーダーシップ講座」
  ・・・ グループワークを通じて、周りに貢献できるいろいろな「役割」のあり方を学びました。
 八城 薫 先生 「心の筋トレ“マインドフルネス”」
  ・・・ 身体の感覚と動きを使って自分の感情と上手に付き合う方法を学びました。


 近年、『嫌われる勇気』、『人は見た目が9割』、『うまくいっている人の考え方』、『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』などなど、心理学ブームと言えるのではないかというくらい心理学関連の書籍が売れています。日常生活やビジネスなど、あらゆる場面で心理学の知見が活かせるからでしょう。
 今回の講座は、学年末考査直後だったこともあってか参加者が9人と少なかったのですが、もしまた大学の先生にこのような機会を設けていただけたら、より多くの人が参加してくれることを期待しています。





トモノカイによる中学生放課後自習室のシステムが始動

 今年度の4月から、(株)トモノカイと連携して、中学3学年を対象にした放課後自習室システムを始動させました。集会室(170席)を「話せる自習室」、その隣の学習室①を「静かな自習室」とし、19:00まで利用できるようにしました。友だちといろいろ教え合いながら勉強したい人には「話せる自習室」を、一人で静かに集中して勉強したい人には「静かな自習室」を利用してもらいます。通常の下校時刻は17:30ですが、このシステムを利用すれば、部活動が終わった後にその日に出された宿題に取り組んだり授業の予習・復習をしたりしてから下校することができます。また、勉強していてわからないことがあったら、毎日来てくれる4人の女子大学生(院生の方もいます)に質問することもできます。

 生徒の皆さんには年度初めのガイダンスのときに、「毎日、短い時間でもよいのでこの自習室を利用するようにして、毎日継続して勉強する習慣をつけてもらいたい」ということを伝えました。本校では、着実に学力をつけていくためには何よりも自学自習ができるようになることが重要であると考えています。教員による指名補習のようなもの をいやいや受けていてもなかなか学力は伸びません。まずは自分で机に向かう習慣をつけ、自分の得意分野は何か、また、何が足りないのかを自分自身で把握できるようになってもらいたいと思います。そういう自己分析ができるようになればグングン学力は伸びていくはずです。本校の教育理念の一つである「自立自存」の見地からも、生徒の皆さんにはそのようになってくれることを期待しています。

 もちろん、教員は何もしないわけではなく、必要なときにはしっかりと手を差し伸べますが、普段はちょっと離れたところから生徒の皆さんが自立するのを見守っていきたいと思っています。




大学ガイダンス

 5月6日、9日、10日の3日にわたって、進路指導部主催の中学3年生以上の希望者を対象にした「大学ガイダンス」が実施されました。国公立大学は東京外国語大学、東京農工大学、お茶の水女子大学、東京都立大学の4校、私立大学は上智大学、国際基督教大学、明治大学、立教大学、中央大学、法政大学、北里大学、大妻女子大学など21校、合計25校の広報の方に来校していただきました。各実施日とも放課後に40分のミニ説明会を同じ内容で2回行っていただいたので、3日とも参加した人は最大で6校の説明を聞くことができました。

 なんとなくでも受験を考えている大学については、できる限りその大学が実施する説明会に参加することが望ましいのですが、都合がつかない場合も多々あることでしょう。まずは本校で実施されるこういう説明会の機会を有効に利用してもらいたいと思います。

 大学について調べてみると様々な学部・学科があること、すなわち様々な学問分野があることがわかるでしょう。自分が将来やりたいことを見つけるうえでも大学調べはいろいろな知識や刺激を与えてくれることと思います。





東京都の「おもてなし親善大使」

中学3年の采女さんが、東京都主催の「おもてなし親善大使」に任命されました。「おもてなし親善大使」とは、おもてなしの心を持って、東京を訪れた外国人旅行者に都内の観光スポットを案内する中高生のボランティアのことです。研修を修了し、大使に任命されると、年間を通しておもてなし(外国人旅行者への英語での接し方)を学ぶ研修・活動に無料で参加することができます。任期は任命された日から18歳になる年度の末日まで(任期終了後も研修・活動には22歳までの学生も可)なので、今後の采女さんの学びや活躍が楽しみです!
 今回は、任命後初めての体験を采女さんが報告してくれました。これを読んで興味がわいた人は、今後「おもてなし親善大使」の募集が出たらぜひ応募してみてください。

<以下、采女さんによる報告>

  東京都庁が主催している「おもてなし親善大使」の第7期生になりました、中3の采女です。私が中3になったっていうのも驚きだし、親善大使の第7期生になったというのにも驚いている今日この頃です。

 私たち「おもてなし親善大使」は約6倍の倍率をすりぬけ、おもてなし大使育成塾に参加した、東京都在住、または都内の中高に通っている中高生たちです。さて、私はこの春におもてなし親善大使として初めての体験をしてまいりました。

 本来ならどこかで集まるものらしいのですが、昨今のこの状況であるためにZoomを用いたものとなりました。最初は「先輩大使の方たちもいらっしゃるんだよね、えーめっちゃお仕事お仕事って感じなのかな…? 無理無理、すごく緊張してきた…」みたいなことを考えていました。しかし実際に参加してみると全然そんなことはなく、先輩大使の方々が優しくリードしてくださったと同時に、先輩方の英語力が刺激となり、私の成長材料となりました。

 前回は、留学生の方々の国を当てたり、参加されている方たちのすごいところなどを英語で表現しました。本当に貴重な体験をさせていただきました! またこのような体験をしたらどこかで報告させていただきたく思います。





編集後記

 今年度本校は、教育理念にもとづいた様々な教育活動のねらいや方針を定めたグランドデザインを策定しました。教員一同、教育理念・目標・方針などを生徒の皆さんともしっかり共有しながら教育活動を展開していきます。
 ウクライナでは、今世紀のこととは思えないような悲惨な戦争が起こってしまいました。生徒の皆さんには、毎日平和に友だちと楽しく学校生活を送られる幸せを感じながら、一日一日を大切に過ごしてもらいたいです。
今年度もニュースレター『多摩の風』をよろしくお願いします。