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【校長室より】『カカ・ムラド~ナカムラのおじさん』中村哲医師の夢を未来へ

更新日時:2020年12月14日

【校長室より】『カカ・ムラド~ナカムラのおじさん』中村哲医師の夢を未来へ

『カカ・ムラド~ナカムラのおじさん』中村哲医師の夢を未来へ

アフガニスタンで35年にわたって住民の診療をし、水不足を解消するために用水路建設にあたってきた中村哲氏が何者かに銃撃されてから1年経った125日、一冊の絵本が翻訳出版されました。タイトルは『カカ・ムラド』、「なかむらのおじさん」という意味だそうです。(双葉社)この絵本を制作したのはアフガニスタンのNGO「ガフワラ」、今までにたくさんの絵本を制作して各地の小学校や幼稚園、図書館に配付してきました。本著は中村さんがアフガニスタンでおこなってきた用水路建設の活動を基に書かれた創作「カカ・ムラド」と、中村さんが登場する童話「カカ・ムラドと魔法の小箱」の二冊で構成されています。

 

1980年代からパキスタンとアフガニスタンで医療活動をしてきた中村さんは、拠点をアフガニスタンに移したあとは、医療に携わるかたわら、病気の原因を解消するにはきれいな水を供給できる灌漑用水路の建設しかないことを痛感し、現地の人々の手を借りながら2000年から6年間で1600カ所もの井戸を掘りました。さらに中村さんは「緑の大地計画」という用水路建設に着手します。反政府武装勢力によるテロや襲撃事件の絶えない現地では、移動には警備員に守られた車を使わなくてはなりませんが、今回の襲撃は作業現場に行く途中に起き、運転手や警備員など同乗していた5名が亡くなりました。アフガニスタンのガニー大統領はテロ事件であるとの声明を出し、中村さんの遺体が空路日本に搬送される際には大統領自ら棺を担ぐ様子がテレビで放映されました。

 

「中村哲医師特別サイト」を運営し、『カカ・ムラド』に解説を載せている西日本新聞によれば、中村さんが異郷のアフガニスタンで人道指導を続けてきた理由を問われるたびに、「昔の日本人ならそんな質問をしません」と語り、困っている人がいれば助けるのは当たり前のことと話したといいます。(『西日本新聞』125日配信)中村さんの死から1年、ガニー大統領は「熱意と忍耐力をもって最も弱い立場にいる人たちに奉仕し続けた」として、その意思を次代に引き継ぐというメッセージを寄せました。