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【校長室より】10月11日は国際ガールズデー

更新日時:2020年10月12日

【校長室より】10月11日は国際ガールズデー

10月11日は国際ガールズデー

国際ガールズデーは、「女の子の権利」や「女の子のエンパワメント(一人で生きる力をつける)」を国際的に訴える日として、イギリスに本拠を置くプラン・インターナショナルが働きかけて、2011年に国連によって採択された記念日です。開発途上国では経済的理由や社会の無理解から学校に通えず、10代前半で結婚を余儀なくさせられる多くの女の子がいますが、11日は彼女たちの声を聞いて彼女たちの権利を守ろうと呼びかける日なのです。

 

「一人の子ども、一人の教師、一冊の本、一本のペンが世界を変えられるのです」

 

2014年にノーベル平和賞を受賞したパキスタン人のマララ・ユスフザイさんは、2013年の国連本部におけるスピーチですべての子どもの教育の権利を主張しました。教育を受けさえすれば彼女たちの将来の活躍の可能性は無限に広がるのに、家や学校や社会で彼女たちの声は無視されてきました。

 

2014年に出版された『わたしは13歳、学校に行けずに花嫁になる』(公益財団法人プラン・ジャパン)によれば、女の子は生まれてくることさえ許されず、6500万人の女の子が小中学校の教育を修了することが出来ないということです。一度は学校に通うことができても、彼女たちは貧困から中途退学せざるを得ず、幼いうちから家事労働を強いられ、15歳未満で結婚させられる女の子も多いのです。女の子がこのような状況に置かれる第一の要因には貧困が挙げられます。地域によっては偏見から女性は男性より低い存在とされ、その結果家庭や社会においても決定権や発言権を持てず、法的に不利な立場に置かれ、特に10代前半の女の子は性別ゆえにさらなる差別や搾取が行われているのです。

 

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の報告書によれば、今年世界中を巻き込んだコロナ禍では、途上国や難民の子どもたちがさらなる深刻な影響を受けているといいます。難民キャンプなど人口密度が高く衛生的にも不備な地域では、感染対策も不十分なうえ、ひとたびウィルスが蔓延すれば犠牲になるのは免疫力の弱い子どもたちなのです。これまでも難民の子どもたちの半数は学校に通うことが出来ませんでしたが、学校閉鎖に加えて、親が働き口を失うことによって学費や教科書、制服を買うことが出来ない上にIT環境が整わず、学校が再開されても通学出来なくなっているのです。守られる場所である学校でさえ家から遠くて通学に危険が伴ったり、女性教師や保健師の不在、女子トイレが少ないとなれば、女の子には通学しにくい場所となります。「(女子は)家族、コミュニティに対して、保護と経済的利益をもたらすのは明らかです」グランディ高等弁務官はコロナ禍における難民の女子への影響を特に懸念しています。

 

プラン・インターナショナルの日本支部であるプラン・ジャパン・インターナショナルのHPには次のような文章が掲載されています。

 

 女の子は、コロナのことなんて知らなくていい。

 女の子は、外出自粛で虐待を受けても仕方がない。

 女の子は、家計のために学校を辞めなくてはならない。

 女の子は、さらに幼いうちに結婚させられる。

 

 「女の子」というだけで差別され、

暴力を受け、搾取され続けてきた途上国の女の子たち。

 新型コロナウィルスが感染拡大するなか、

 彼女たちはさらなる犠牲を強いられています。

 感染の危険に怯え、未来の可能性まで

 断ち切られようとしています。

 

  • 世界の非識字人口の約3分の2が女性: 家事労働が少なく収入の手立てがなくなり搾取の対象になる。
  • 途上国では、約3分の1人の女の子が18歳未満で結婚: 教育の機会が奪われ、妊娠や出産による身体的ダメージを受ける。
  • 身体的暴力を受けたことのある女の子は約4人に1人。世界中で1億2000万人の女の子が性暴力の被害者となり、加害者は制裁を受けずに女性が悪いとされる。
  • 人身売買の被害者の71%は女の子か女性。家事使用人や性産業の働き手として、だまされたり誘拐されて売られ、暴力や搾取の対象となる。

 

マララさんが作ったマララ財団は、新型コロナウィルスの影響で約2000万人の中等教育を受けていた女の子が、学業を断念すると警告しているといいます。またウィルスの自粛により早すぎる結婚への取り組みが中断され、今後10年間で1300万人の女の子が早婚を強いられる見通しということです。(プラン・ジャパン・インターナショナルHPより)

 

10月9日、ノーベル委員会は2020年のノーベル平和賞を「国連世界食糧計画」(WFP、本部ローマ)に授与すると発表しました。受賞理由は「飢餓と戦う努力と、紛争の影響を受けた地域の平和のよりよい条件への貢献、戦争や紛争の武器としての飢餓の利用を防ぐための努力」(朝日新聞)ということです。世界各地での紛争とそれに伴う貧困、今年はこれに加えて新型コロナウィルスという疫病の感染危機が先進国も途上国も等しく襲いました。このような状況でもっとも被害を受けるのが子どもです。なかでも女の子に対する差別が行われている現実を、私たちは忘れてはならないのです。