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【校長室より】「リケジョのススメ」女性研究者がノーベル化学賞、物理学賞受賞

更新日時:2020年10月19日

【校長室より】「リケジョのススメ」女性研究者がノーベル化学賞、物理学賞受賞

「リケジョのススメ」女性研究者がノーベル化学賞、物理学賞受賞。

2020年のノーベル賞は化学賞にマックス・プランク感染生物研究所所長のエマニュエル・シャルパンティエとカリフォルニア大学バークレー校教授のジェニファー・ダウドナ、物理学賞にカリフォルニア大学ロサンゼルス校教授のアンドレア・ゲッズ、文学賞にアメリカの詩人ルイーズ・グリュック4人の女性が受賞しました。

 

化学賞を受賞した二人の女性研究者は「CRISPR-Cas9」(クリスパー・キャスナイン)と呼ばれる「ゲノム編集」の画期的手法を開発したことが評価されました。CRISPRとはある特定のDNA配列、Cas9とは「分子のはさみ(genetic scissors)」のことで、この「分子のはさみ」を使って、DNAの特定の場所を切ったり置き換えたりするといいます。

 

BBCによれば、二人の女性が共同で化学賞を受賞することは1901年のノーベル賞の歴史でも初のこととし、シャルパンティエ教授の言葉を紹介しています。

 

 “I wish that this will provide a positive message specifically for young girls who would like to follow the path of science…and to show them that women in science can also have an impact with the research they are performing.”

 

「私たちが受賞したことは、科学の道を進みたいと考える女の子たちにとくにプラスのメッセージとなり、さらに女性科学者たちの研究にも影響が与えられることを、彼女たちに示したいと思っています。

 

さらに彼女は次のように続けています。

 

 “This is not just for women, but we see a clear lack of interest in following a scientific path, which is very worrying.”

 

 「女性だけのことではありませんが、科学の道を志すことに対する関心が極めて薄れていることは憂慮すべきことです。」

 

一方、二人の研究者とともにノーベル物理学賞を受賞した天文学者のアンドレア・ゲッズ教授の子どものころの夢は宇宙飛行士になること。彼女は共同研究者とともに宇宙の観測技術を向上させ、太陽の約400倍の質量の超巨大ブラックホールの存在を明らかにした功績で、女性で4人目となるノーベル物理学賞が与えられました。

 

1901年に始まったノーベル賞ですが、2019年までの受賞者のうち男性は866人、女性は53人、団体が24団体であり、女性の受賞者は全体の5パーセントに過ぎないということです。(Wikipedia)ノーベル賞を受賞した最初の女性はマリ・キューリーであり、彼女は夫ともう一人の研究者とともに1903年に物理学賞を受賞。1911年には化学賞も受賞しています。さらに1935年にマリ・キュリーの娘であるイレーヌ・ジョリオ=キュリーが化学賞を受賞、母と娘で受賞した唯一の例ということです。

 

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『理系女子(リケジョ)的生き方のススメ』(岩波ジュニア新書、2012)の著者であり、公立はこだて未来大学システム情報科学部教授である美馬のゆり先生は、本書の「はじめに」でこのように書いています。

 

よく受ける質問。「女性でよくそこまで頑張ってきましたね」「家事はどうしているのですか?子育ては?」「ご主人が理解ある人でよかったですね」。

えっ!???? その質問の意味がわかりません。だって、自分がやりたいことをやるために、まわりの人たちと調整しながら、できることをやってきただけなのに。そしてそれは、自分のためだけでなく、そこに関わる人たちみんながハッピーになるということを見つけて実行してきただけなのですから。

 

美馬先生が理系に進もうと思ったのは小学校低学年のことだといいます。小学校のころから医師になりたいと考え、高学年になると算数や理科が特に好きだと感じるようになりますが、お母様の強い意向で公立の小学校から女子中高一貫校に進学します。中高では数学部に所属し、そのころからコンピュータに興味を持ち、英語版しかないプログラミングの教本を読み解いて楽しんでいたということです。「自分の道は自分で選ぶ」と決心して電気通信大学の計算機科学科(コンピュータ・サイエンス)に進学、その後はハーバード大学大学院で教育学を学び、東京大学大学院では認知心理学を学んでいます。

 

タイトルとなる「理系女子的生き方」とは、女とか、男とか、性別に関係なく、「自分のやりたいことを見つけて、まわりを巻き込みながら、楽しく生きる生き方」のことだと美馬先生は言います。

 

数学や理科が好きで好きでたまらないあなた、数学や理科はどうしても苦手というあなた、自分のやりたいことを見つけて、自分だけでなくまわりを巻き込んでいくうち、どの分野に進んだとしても、楽しく生きる道が開けてくると思いますよ。