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【校長室より】「7枚のマスク」大坂なおみ選手、全米オープン女子シングルス優勝!

更新日時:2020年9月16日

【校長室より】「7枚のマスク」大坂なおみ選手、全米オープン女子シングルス優勝!

「7枚のマスク」 大坂なおみ選手、全米オープン女子シングルス優勝!

ニューヨークで8月31日から行われた全米オープンテニス女子シングルスで、大坂なおみ選手は912日、2018年に続く2度目の優勝を果たしました。今回とくに注目されたのは、白人警官による黒人差別事件に抗議した大坂選手の毅然とした姿勢でした。大坂選手は、白人優位のスポーツであるテニスで頭角を表したビーナス&セリーナ・ウィリアムズ選手に憧れてテニスを始めたと言われていますが、2018年の全米オープンの決勝でそのセリーナ・ウィリアムズ選手にストレート勝ちして、彼女の名前は世界中に知れ渡りました。

 

全米オープン直前の大会では一時人種差別に反対して試合を棄権した大坂選手でしたが、今回の大坂選手は試合開始から気迫に満ちていました。彼女は人種差別に抗議して犠牲者の名前が書かれた7枚のマスクを用意して、初戦から決勝までの7回を勝ち進むと宣言したのです。

 

  “It’s quite sad that seven masks isn't enough for the amount of names [of Black people killed by member of law enforcement], so hopefully, I’ll get to the finals and you can see all of them.”

 

「悲しいことですが、警官に殺された多くの黒人の名前のことを考えてみると7枚では十分ではありません。私は決勝まで勝ち進んで7枚のマスク全部お見せしたいと思います。」

 

1回戦で着けたマスクには2020年に就寝中に警官に誤射されたBreonna Taylor4回戦の準々決勝では同じく2020年に警官に首を押さえつけられて窒息死したGeorge Floyd、そして決勝では2014年に模造銃を持っていて射殺された12歳の少年Tamir Riceと記されていました。

 

決勝戦でベラルーシのビクトリア・アザレンカ選手を破った大阪選手は「7枚のマスクはどのような意味があるのですか」と聞かれて、次のように答えています。

 

Well, what was the message that you got was more the question? I feel like the point is to make people start talking.”

 

「(私が着けたマスクから)あなたが受け取るメッセージのほうが重要です。大切なのはみんなが(マスクについて)議論し始めることだと思います」

(“Naomi Osaka: Seven Masks En Route to Second U.S. Open Championship” 「大坂なおみ、二度目の全米オープン優勝への7枚のマスク」Forbs Online

 

オリンピックや各種競技の世界大会などでは特定の思想を宣伝する行為は禁止されており、このことは「オリンピックの用地、競技会場、またはその他の区域では、いかなる種類のデモンストレーションも、あるいは政治的、宗教的、人種的プロパガンダも許可されない」という「オリンピック憲章の第50条」に基づいています。

 

大坂選手が“Black Lives Matter”と書かれた黒いシャツを着たり、犠牲になった黒人の名前が記された黒いマスクを着けて人種差別に抗議することに対して、スポーツに政治を持ち込むべきではないと批判する人々もいましたが、彼女の真摯で強いメッセージは、テニス界はもちろんメディアも味方につけました。

 

1997年生まれ、22歳の大坂選手は、2018年までは日米の国籍(父親がハイチ系アメリカ人、母親が日本人)を持っていましたが、2019年に日本国籍を取得、優勝カップを手にしたコートには日の丸の籏が掲げられていたのが印象的でした。大坂選手の身長は180センチ、錦織選手より背が高いんですよ。Youtubeで彼女のインタビューを検索してみてください。