OTSUMA TAMA Junior and Senior High School

学校案内

【高1】ご入学おめでとうございます【2020年度】

更新日時:2020年4月9日

【高1】ご入学おめでとうございます【2020年度】

学校長 式辞

みなさん、大妻多摩高等学校ご入学おめでとうございます。

保護者のみなさま、お嬢様がたの高校ご入学お祝い申し上げます。

桜の季節は過ぎましたが、今年は新型コロナウィルス対応で中学卒業式は保護者のみなさまのご列席もないまま放送で行いましたが、高校の入学式もまた中止せざるを得ないことは誠に残念です。
みなさんが高校へ進学なさるということは、次は大学進学に向けて、そしてその先の社会での活躍を見据えてこの3年間を過ごすことになります。現在のこの異常事態が早く収束し、平常の生活が取り戻せることを心から願っています。


さてみなさんはジェンダーギャップという言葉を聞いたことがありますか?

これは毎年12月にダボスで行なわれる世界経済フォーラムが発表する男女格差の大きさを国別に比較したものです。昨年暮れに発表されたジェンダーギャップ指数では、日本は世界153か国のうち121位、昨年度の110位より11位も下回りました。今までも日本は常に主要7か国の中で最低なのです。この指数は、経済、教育、健康、政治の4分野の14の項目のデータをもとにして男女格差を分析した指数のことです。日本はどうしてこのような低い順位かというと、経済は115位、政治に至っては144位という低さなのです。つまり日本では管理職や専門職の女性比率が低く、女性の議員や閣僚は少なく、いまだ女性首相も誕生していないというのがその理由です。日本では政治経済の分野においては依然として男性中心で行われているという事実があるのです。

上位の国々はというと、アイスランド、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンなどの北欧諸国が挙げられます。ここで紹介したいのは、昨年12月にフィンランドで首相に就任した34歳のサンナ・マリンさんのことです。フィンランドでは3人目、現職では世界最年少の女性首相ということになります。フィンランドでは若い女性が首相になったということ自体驚くことではなく、「年齢や性別に関係なく能力を発揮できる社会」がその背景にあるということなのです。

これだけでも日本では考えられないと思いますが、彼女の生い立ちも普通とは少し異なります。普通とは何かと言うことになりますが、マリンさんの父はアルコール依存症で、それがもとで両親は離婚。その後彼女は母親と女性パートナーに育てられ、貧困に苦しみながら、国のさまざまな経済的援助を受けて大学では地方行政学を研究、2017年には修士号を取得しています。マリンさんは20代から政治に目覚め、市議会議長、社会民主党副党首から国会議員になり、運輸・通信大臣を経て首相になりました。2歳になる娘を持つマリンさんは国会議員を務めながら産休と育休を取得しました。

マリンさんは5つの政党から成る連立内閣の第一党である社会民主党党首ですが、それ以外の4つの党の党首はいずれも女性、そのうち3人はマリンさんと同様に30歳代前半、閣僚19人のうち女性が12人を占めるということです。フィンランドでこのように女性政治家が多い理由の一つに、投票権を持つ18才より前の15歳から支持政党の選挙運動に加わって経験を積み、子供のころから政治に関心をもつという土壌があります。学校でも主権者教育が盛んで、小中高では国政選挙と同じ候補者を立てて模擬選挙を行い、各政党もその結果を評価するのだそうです。大妻多摩高校でも高2を中心に多摩市の指導のもとに模擬選挙を行っていますが、皆さんのような若い世代が政治に関心を持てば、女性が政界に進出する機会がもっと増えるのではないでしょうか。

社会を動かすのはみなさんのような世代、そして女性こそその力を持っていると思います。自信をもって、社会のさまざまな分野で活躍するその地盤を大妻多摩高等学校で作って下さい。

改めて、大妻多摩高等学校ご入学おめでとうございます。