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【校長室より】中高 修了式式辞【2019年度】

更新日時:2020年3月16日

【校長室より】中高 修了式式辞【2019年度】


 3月16日中高修了式が行われました。
 いつもは多摩体で行われる修了式も、今年度はコロナウィルス対応のため各教室に分かれて放送で行われました。臨時休校で久しぶりに学校に集まった生徒たちは友達と顔を合わせてとてもうれしそうでした。



修了式 式辞

 みなさん、令和元年度の全課程が無事終わったことをお祝い申し上げます。
 今年度の修了式は新型コロナウィルス対策のためこのように放送で行うことになりました。今回のことは突然世界中の人々の身に降りかかったことであり、連日様々情報が入り乱れて私たちの耳に入ってきますが、大人である私たちでさえ、いつ収束するのか、何が真実か見極めることが難しいのです。今回の問題は日本だけでなく世界中を不安に陥れたことだけは確かですが、怖がってばかりはいられません。正しい情報をつかみ、誤った情報に惑わされない冷静さが必要なのです。部活や大会、演奏会などが中止になり悲しい思いをしているかもしれませんが、こういうときこそ日頃出来なかった読書や趣味などを深めてはいかがでしょうか。

 さてみなさんは、この1年振り返ってみて、それぞれの立場で、笑顔で一年を終えることが出来たでしょうか。

 今日はその笑顔についてお話しようと思います。昨年の8月、イギリスで行われたゴルフの全英女子オープンでは20歳の渋野日向子選手が、プロ1年目、ほぼ海外初挑戦にして優勝したのは皆さんの記憶に新しいと思います。日本勢42年ぶりの海外メジャー大会制覇を成し遂げた渋野選手ですが、海外でも大きく報道されたのは彼女の笑顔だったのです。海外メディアからSmiling Cinderellaと名付けられた渋野選手は、笑顔でキャディやギャラリーとハイタッチしたりしたので、メディアは「まるで舞踏会にでかけるよう」だったととか、優勝を決めたショットは「フェアリーテイルの結末のようだった」と報じました。(ハイタッチというのは和製英語で、英語ではhigh fivesといいます。)
 「勝敗を分ける緊張した場面でどうして笑顔でいられたのですか」、こう聞かれて彼女は次のように答えています。「緊張しているときは、意識して笑ったりギャラリーの声援にこたえます。キャディーやコーチと笑いながら話すと、よりリラックスして集中できます」 プレイの最中にお菓子を食べることも有名になりましたね。これも緊張をほぐすためなのだそうです。優勝インタビューでも、優勝賞金でsweet treatsを買うと即座に答えていました。別の新聞では、渋野選手が笑顔を振りまいてくれたことに感動して、日本選手と知りながら応援していたイギリス人少年のことが記事になっていました。このように、アウェイで試合をしながら、海外メディアや海外のギャラリーを笑顔で引き付けた渋野選手は、実はとてもつらくて疲れた4日間を過ごしていたのだということです。

 メンタルヘルスの面からいうと、笑顔には脳の働きを活性化させてリラックスしたり自律神経のバランスを整える働きがあるそうです。スポーツ心理学の専門家の話では、笑うとよい成績が取れるというのは実験結果でも明らかにされていて、笑うだけで筋肉がリラックスしてスムーズな動きになり、呼吸も安定することが証明されています。渋野選手は意識的に笑うことで気持ちを切り替えていたのでしょう。

 大妻コタカ先生の言葉に「強く正しくにこやかに」というのがあります。先生は恩師と仰いでいる方から「あなたは美人とはいえないが笑い顔は実にいい」と褒められてとても良い気分になった、ということが『ごもくめし』に書いてあります。「ほめられると人情の常で、始終笑顔で暮らしたいと心掛け、ほめること、ほめられることによって物事を実行に移すことが出来る」というのです。

 新型コロナウィルスのことで世の中が沈んでいるいまだからこそ、みなさんもどんな場面でも笑顔を忘れず、ここ一番という勝負の時にもしかめつらするのではなくリラックスして笑顔で臨めばきっと道が開けると思います。ぜひ実践してみてください。
 新学期には今までの日常を取り戻すことができ、ふたたびみなさんの笑顔に会えることを楽しみに待っています。