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【校長室より】『アナと雪の女王Ⅱ』

更新日時:2019年12月23日

【校長室より】『アナと雪の女王Ⅱ』

『アナ雪Ⅱ』- Let it go(ありのままに)からInto the unknown(未知の旅へ)


日本では「アナ雪」で通じるディズニー映画の原題はFrozen「凍った」という意味ですが、モデルとなったアンデルセン原作の童話「雪の女王」の住む「氷の城」を意味するようです。日本での公開時には、すべてのものを凍らせる魔法を使うエルサと、その妹アナの姉妹の物語ということで邦題が『アナと雪の女王』になったのでしょう。童話の『雪の女王』は、雪の女王が主人公というより、雪の女王に連れ去られたカイという少年と彼を探しに出かけるゲルダという少女の冒険談であり、「アナ雪」はこれを元に創作されたストーリーです。


2014年に公開されて大ヒットした『アナ雪Ⅰ』(Frozen)では、かつてのディズニーアニメにみられる「その後、プリンスとプリンセスは幸せに暮らしましたとさ」(Prince and Princess lived happily ever after.)というハッピーエンディングではなく、姉妹の強い絆(sisterhood)が再確認されます。1980年代以降のディズニープリンセス映画では、王室出身であろうと一般市民であろうと女性が中心に描かれ、ハンサムなプリンスは添え物でしかなくなります。『アナ雪Ⅰ』ではプリンスはもはや頼りない存在であり、アナもエルサも男性に助けを求めることはなく自分の道は自分で切り開く強さを持っています。

 

今回の『アナ雪Ⅱ』は『アナ雪Ⅰ』の3年後に設定されています。アレンデール王国の女王となったエルサは妹のアナとともに城に暮らしていますが、あるときエルサは不思議な歌声に導かれて魔法を使ったことから、クリストフ、トナカイのスヴェン、オラフを伴って北方の地に旅に出ることになり、霧の壁に阻まれた魔法の森に行き当たります。


I can hear you. But I won’t.             

Some look for trouble. While others don’t   

There’s a thousand reasons I should go about my day 

And ignore your whispers. Which I wish would go away…

中略

I’ve had my adventure. I don’t need something new! 

I’m afraid of what I’m risking if I follow you   

Into the unknown… Into the unknown…        

Into the unknown! 
Into the unknown! 

(日本語訳)

聞こえるけど耳は貸さない

危険を冒す人もいればそうでない人もいる

消えて欲しいあなたの囁きを

無視する理由はあるけれど


冒険はもうたくさん、冒険はしない

声についていったら危険を冒すかも

未知の旅へ、未知の旅へ

未知の旅へ!
未知の旅へ!

 

『アナ雪Ⅱ』は『アナ雪Ⅰ』の続編ではありますが、アナとエルサの旅は過去と向き合う旅でもあり、「水」「風」「大地」「火」の精霊に支配された森に閉じ込められた人々と出会うことにより、両親の死の真実を知ることになります。アンデルセンの『雪の女王』はデンマーク語で書かれていますが、『アナ雪Ⅱ』は北欧神話に基づき、スカンジナビアの国をモデルとしたノーサルドラという架空の国やノルウェーの妖精トロールを登場させています。

それにしても『アナ雪Ⅱ』のアナとエルサの強いこと!宣伝用のポスターの二人の顔を見ると、自分と王国の運命は私たちが切り開くとばかりに意志の固い鋭い目つきをしています。ディズニーアニメでは最近に見られないほどの強い女性の誕生です。魔法の使えないアナにしてもオラフをお供にして冒険の旅に出ますが、エルサに至ってはブーツとマントを脱ぎ捨てて、ダークシー(闇の海)に飛び込み、敵を蹴散らして精霊たちを従わせるのです。かつてアレンデール王国がノーサルドラとの平和の印として作ったダムを壊し、大津波がアレンデール王国を飲み込もうとした瞬間、氷の馬にまたがって大波を阻止するエルサ魔力はみものです。

 

森の精霊の力を弱めるためにエルサたちの祖父が建てたダムを破壊することによって自然を取り戻すという大きなテーマは、環境保護、ひいてはSDGsの現代にも通じるものでもあり、ディズニーアニメの進化を感じさせます。