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【校長室より】女性が働きやすい国、オーストラリア

更新日時:2019年8月5日

【校長室より】女性が働きやすい国、オーストラリア

女性が働きやすい国、オーストラリア

7月31日付の朝日新聞によれば、総務省が30日に発表した労働力調査で、日本の女性の就業者が昨年より53万人増えて、初めて3000万人を超えたといいます(男性は3744万人)。ただし、人数の男女差は縮まりつつあるが、女性は非正規雇用が多く、賃金面の男女差は依然とした大きいということです。

 

昨年と今年、グローバル・キャリア・フィールドワークの引率をして、現地で働いている日本人女性の方たちにお会いすると、みなさん口をそろえて、オーストラリアは女性が働きやすいとおっしゃいます。それは労働時間、賃金が保証され、性差も少ないということなのでしょう。

 

1606年オランダ人によって発見されて以来、実際には1770年にスコットランド人のジェームズ・クックがシドニーのボタニー湾に上陸してイギリス人の植民を始まりますが、初期の入植者のほとんどは囚人でした。19世紀初頭には全土がイギリス植民地となり、農耕や牧畜が盛んになります。女性も参政権や高等教育の機会を求めて運動を行い、1880年代にはアデレード大学、メルボルン大学、シドニー大学で女性の入学が認められます。

 

女性の地位が大きく変わるのは1970年代から80年代のことであり、それまでの白人中心の白豪主義から多文化主義国家に政策転換すると、民族や人種、性別を問わず優秀な人材を登用して経済的に安定した強い国家の建設を目指すようになります。同一労働同一賃金を求めて、性差別禁止法が1984年に、女性の雇用機会均等法が1986年に制定され、女性の社会進出が勢いを増すことになります。

 

女性の活躍は、2010年にジュリア・ギラード(Julia Eileen Gillard) が第27代首相、労働党党首に選出されたことでも明らかです。(~2013年)オーストラリアは英国女王を元首にもつ国(正式名称:Commonwealth of Australia)であり、20089月から29143月まではクエンティン・ブライス(Dame Quentin Alice Louise Bryce)が、女王の代行を務める総督になると、2010年から13年までは女王、総督、首相が女性で占められることになりました。

 

オーストラリア証券取引所上位200銘柄で女性の比率が高い職業は保険、銀行、食品、ソフトウェアなどで、高い職種では女性が30パーセント近くを占め、一人以上の女性役員がいる企業は全体の60パーセントだといいます。(2012年、豪政府)このように女性の活躍がめざましいオーストラリアですが、2018年のジェンダーギャップ(男女差)では149か国中39位と北欧諸国には劣りますが、51位アメリカ、70位のイタリアよりはるかに上です。

 

ジェンダーギャップが110位である日本では、冒頭でも言及したように女性の就業率は増えても賃金格差は大きく、女性議員、女性役員の数はG7諸国よりはるかに劣ります。厚労省の発表では2018年の日本人の平均寿命は女性が873歳、男性が813歳で、過去最高になったといいます。現在の10代の半数は100才以上生きられるとすると、女性は人生のそれぞれのステージで学びなおしをしながらステップアップして、健康寿命の80歳ぐらいまで社会に貢献できる仕事が続けられるには、根本的な社会構造の改革が必要だと感じます。