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【校長室より】中満泉さん、「偉大な指導者50人」に  

更新日時:2018年5月14日

【校長室より】中満泉さん、「偉大な指導者50人」に   

中満泉さん、米経済誌『フォーチュン』の「偉大な指導者50人」に

 

昨年7月国連で採択された核兵器禁止条約の交渉でも貢献した(詳細は過去記事「校長室より」をご覧ください)、国連軍縮担当事務次長・上級代表である中満泉さんが、日本人としてただ一人『フォーチュン』誌の「偉大な指導者50人」に選ばれました。中満さんは、大量破壊をもたらす核兵器の脅威を知らしめ、難民救済支援交渉を行ってきたその実績と、シリアにおける化学兵器使用が地域紛争に発展するのを防いだ行動が選考の対象になったといいます。以前にもこのページでご紹介したように、中満さんは子育てと両立させながら国連職員として国際協力の現場で活躍している、数少ない日本人のひとりです。

 

『フォーチュン』誌の「偉大な指導者50人」には、毎年政治家や企業CEOの名前がトップ10にあがります。今年も韓国大統領、フランスおよびニュージーランド首相やGM、アップルなどのCEOの名前が上位に見られ、特に彼らの社会貢献度が評価されましたが、グループとして偉大な影響力があった無名の人々が選ばれたことが今年の特徴といえるでしょう。

 

1位には学校における銃規制に立ちあがったマージョリー・ストーンマン・ダグラス高校の生徒たち(The Students)が、3位にはハリウッドの大物プロデューサーのセクハラ告発に端を発した一般女性たちによる抗議行動(#Me Too Movement)が選ばれました。さらに、米体操連盟医師によるセクハラを告訴した元五輪代表選手たちや、賃上げストを成功させたウェスト・バージニア州の公立学校の教師たちなど、いままでアメリカ社会が見過ごしてきた銃規制やセクハラ、労働条件などに光が当てられたのは大きな変化だと思います。なお2位には、世界最大の慈善基金団体である「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」のビル・ゲイツと妻のメリンダ・ゲイツが選ばれています。彼らは自ら開発途上国に赴き、女子児童の支援、ジェンダー平等など世界の貧困や病気、差別に取り組み、財団の基金を有効利用させてきたことが選考の理由となりました。いってみれば、一般市民が選ばれたということは、アメリカが単に利益追求の大国というだけでなく、基本的人権、公民権、ジェンダー平等、企業の社会的役割や働き方改革、銃規制・核兵器廃絶に至るまで、国連がSDGsで定めた17の目標に照らしてアメリカ社会の意識が変化した結果といえるのかもしれません。