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令和2年度2学期始業式 学校長挨拶

更新日時:2020年9月1日

令和2年度2学期始業式 学校長挨拶

令和2年度2学期始業式 学校長挨拶

「元通りの生活に戻す(る)のではなく前に進もう!」

みなさん、おはようございます。

令和2年度2学期が始まりました。長い梅雨のあとの猛暑の夏でしたが、朝晩虫の声が聞こえるようになりました。今年度は異例のオンライン授業で始まりましたが、一度は沈静化したかのように見えたウイルスの感染も、日本を初め世界中でその増減を繰り返しています。今日から全校生徒の登校が始まりましたが、コロナが近い将来終息したとしても、生活を元通りに戻すとか、元通りの生活をするのではなく、私たちは新しい生活に向かって前に進まなくてはならないと思います。

 

今はまさに世界中の人々が今まで予測もしていなかった世界の真っただ中にいます。「予測不可能な未来社会で活躍するために」とか「答えのない問いを求めて」というような言い方もしますが、世界中の英知をもってしてもコロナ終息の明快な答えをだしてくれる人はいません。今までは経験ある大人の知識や行動が子どもたちの指針となったわけですが、今回ばかりは世界中の大人も子ども同じように新型コロナウィルスの暴挙に襲われました。

グローバル社会というのは人や物流や経済が国境を超えて行き交う社会をいいますが、ウィルスの世界的蔓延はグローバル社会の負の部分を露呈し、世界各国はロックダウン、すなわち国境を封鎖せざるを得ませんでした。人も物も金も流通しない鎖国時代が訪れたのです。

「苦難ののちに勝ち取られた移動の自由を制限することは絶対的な必要がなければ正当化しえないが、いのちを救うためには避けられない」。自身が旧東ドイツ出身で東西ドイツ統一を経験しているメルケル首相は、コロナ感染を防ぐため、いち早く断固たる決意で人々の往来を禁じました。

 

ところで皆さんはこの夏休みをどのようにお過ごしになりましたか? 夏休みと言っても分散登校のあとの期末考査、そして補習などもありましたので、いつもの夏休みとは大きく様変わりしたと思います。対面授業が当たり前と思っていた皆さんも先生方も、どうすれば今まで通りの勉強が続けられるかを模索しながら、新しい学習方法につぎつぎと挑戦してきました。積極的に参加を求められる授業への転換は、最初は戸惑いもあったと思いますが、この3,4か月の間に、みなさんは勉強の様々手法を身につけたと思います。自分の意見を発表しなければ前に進みません。主体的・対話的な学びを身をもって体験したのです。

 

将来のキャリアについてもいろいろと考えたのではないでしょうか。社会に貢献したい、人のためになる仕事をしたいと思っていても、実際に医師や看護師などの医療従事者の方たちがどのような切迫した状況で仕事をしていたかを考えると、そのような職業につくためには相当の決意と覚悟が必要なことがわかったと思います。ご両親の仕事を見ながら将来の自分の仕事について考えたりしませんでしたか。在宅でのテレワークは、大都会の大きな会社という仕事場を必要としなくなりました。また外食や買い物が減った代わりにオンラインでの配達が増えるなど、私たちの生活様式も様変わりしました。このような生活の変化をみなさんはどのようにとらえているでしょうか。

 

政府や東京都からの自粛要請について私たちは従わざるを得ませんでしたが、2月に首相が一斉休校を要請したときにも、仕事のため保護者が不在になるとか、小さい子どもがいる家庭はどうするのかと心配になりませんでしたか。弟や妹と家に取り残されて心細い思いはしませんでしたか。またコロナ対策に数十兆円を支出したといいますが、日本の財政は大丈夫なのだろうかなど疑問に思いませんでしたか。家にいる時間が長かったので、ご家族でこのようなことについて話し合った方もあると思います。メディアに惑わされずに自分で考えたり話し合ったりして、きっと皆さんはこの数か月の間にいつもとは違う成長を遂げたはずです。

 

先日は中学三年生の有志がオーストラリアのBrigidine Collegeの生徒とオンライン交流をしました。海外に行けないからといって国際交流が出来ないはずはありません。機会があればこのような交流はこれからも増やしていくそうですが、「コロナで何々ができない」ではなく、「こんなこともできる」というようにポジティブにとらえて様々なことに挑戦していただきたいと思います。