大妻多摩中学高等学校

第28段

 大妻多摩中学高等学校国語科の小野による本の紹介コーナーです。ここでは、授業や各種プリント類で引用したり紹介したりした本を中心に書いていきます。在校生諸君には、既に聞いたり読んだりしたことがある、という内容になるかもしれません。第1弾は、小西甚一著『古文の読解』(ちくま学芸文庫)です。

 平成21年度の夏休み前に、高校2年生(第21期生)に「絶版になっていて買えないことを承知で薦める」とまで書いて紹介しておいた名著『古文の読解』が、今年(平成22年)の2月に、「ちくま学芸文庫」の一冊となって復刊されました。受験参考書が文庫本になって再登場とは、さすが小西先生、さすが『古文の読解』です。

 最近は、山川出版の歴史教科書など、大人向けの再勉強用の本が売れていますが、この『古文の読解』も同じ目的で買う人が多いのでしょうか、売れ行きはかなり好調のようです。先日書店で確かめてみたところ、既に第5刷となっていました。

 小西甚一氏の古文参考書といえば、『古文研究法』(洛陽社)が有名で、初版発刊から55年経った今でも売れ続けている超ロングセラーですが、『古文研究法』の内容を分かりやすくしたものが、この『古文の読解』です。高校時代の私は、『古文研究法』が取っつきにくっかったので、改訂版が出たばかりの『古文の読解』(旺文社から出ていました)の方で受験勉強をしていました。

 私が高校時代に買って今も持っている旺文社オリジナル版(昭和59年発刊)は「スキンシップ・ゼミ」と銘打たれていました。プロローグには「ふだん教室でしゃべるような調子で話しかける書きかたになっている」と書かれていて、実際そのような平易な語り口なのですが、一流の学者が精魂込めて書いている参考書ですから、内容は非常に高水準です(教師になってから実感したことですが、授業をする際の参考になるような記述も非常に多い)。今の高校生には少々ハードな一冊かもしれません。特に、基礎が身についていない人には、あまり意味がない本でしょう。ある程度力があって、じっくり腰を据えて勉強して上級の古文読解力を獲得したいという人向けの本です。

 小西氏の参考書には、他に『国文法ちかみち』(洛陽社)というのがあり、これも勉強になる本です。ただし、『古文研究法』も『国文法ちかみち』も、文字が小さく行間が詰まっていて読みづらいのが玉に瑕(きず)です。ここが改まると、とても嬉しいのですが(洛陽社さん、是非何とかして下さい。体裁を変えればもっと多くの人に読まれますよ)。

国語科 小野