大妻多摩中学高等学校

第38段

 国語科の小野による本の紹介コーナーです。第3回は、竹内薫著『ブレイクスルーする科学者たち』(PHP新書、659)です。

 「ブレイクスルー(breakthrough)」とは、「研究上の大発見」「飛躍的な前進」という意味ですが、本書は、それぞれの専門分野で世界的な業績をあげている現代日本人科学者11人にスポットを当て、彼らの「ブレイクスルーの法則」を解き明かした本です。さすが世界レベルの研究者だけあって、研究者になるまでの、あるいは大発見をするまでの話、現在関心を持っている研究の話は、どれも面白く興味深い。

 私が一番面白く感じたのは、第2章「皮膚は脳である」という傳田光洋(でんだ・みつひろ)博士の話です。傳田氏によれば、皮膚の感度というのは男女によって差があるらしい(どちらが感度が良いのか気になる人は、本書を読んでみて下さい)。それだけではなく、何と、皮膚は耳には聞こえない音を聞いている、というのです。こうなってくると、皮膚が殺気やテレパシーを感じるというのも、単なるオカルトと切り捨ててはいられなくなります。

 このように、最先端の科学の話が満載です。話題は「iPS細胞(=人工多能性幹細胞)」だったり「素粒子物理学」だったりと、何やら難解そうなものもありますが、サイエンスライターで自身理学博士でもある竹内薫氏が、分かりやすくまとめてくれています。それもでも難しいという箇所は、飛ばしてしまっても構いません。興味のある箇所だけ読んでも、考えるヒントや壁を突破する方法などが見えてくるかもしれません。将来の進路を考えようという人、漠然と理系に進みたいと思いながら、さてどんな勉強をやりたいのか迷いがある、といった人にも、お薦めの一冊です。

国語科 小野