大妻多摩中学高等学校

第45段

 国語科の小野による本の紹介コーナーです。第4回は、石原千秋著『学生と読む『三四郎』』(新潮選書)、高田祐彦・土方洋一著『仲間と読む 源氏物語ゼミナール』(青簡舎)の2冊です。

 大学の文学部(特にその中の日本文学科)というのはどのような勉強をするところなのか。そのような疑問に答えてくれるのが、この2冊です。人文科学系の進路を考えている高校生にお薦めします。

 『学生と読む『三四郎』』の方は、現在早稲田大学教授を務める近代文学研究者の石原千秋(いしはら・ちあき)氏の、成城大学教授時代のゼミ(演習形式の授業)の一年間の様子をまとめたものです。ゼミで扱った教材が夏目漱石の『三四郎』だったので、このような書名になっているわけです。学生の教室内外の様子が描かれているだけでなく、実際のレポートや、それに石原氏がつけた点数なども公開されています。なるほど大学の文学の授業というのはこういうものなのか、ということが分かりますが、それだけではなく、現在の大学・大学教師の様子もよく分かります。石原氏は「鬼教師」としても有名ですが、ただ厳しいだけではない、学生に対する温かい眼差しが、この本を彩り豊かなものにしています。

 一方、『仲間と読む 源氏物語ゼミナール』の著者の高田祐彦(たかだ・ひろひこ)氏・土方洋一(ひじかた・よういち)氏は、共に青山学院大学文学部教授で平安文学研究者です。こちらは、「『源氏』の研究をする際に知っておくべきことはどのようなことか」という点に重点が置かれていて、物語史の中の『源氏』、『源氏』のあらすじ、研究上の用語などの説明にページが多く割かれています。ですから、高校生が読むよりは、むしろ大学1年生あたりが読む方がいいような内容の本です。しかし、土方ゼミ・高田ゼミそれぞれの授業の様子が再現されているので、高校生にも古典文学の演習授業の雰囲気がイメージしやすく、やはり有益です。土方ゼミの方は「夕顔」巻を教材にしていますが、私も同じ箇所を以前に授業で講読したことがあるので、とても面白く読みました。また、本の最後には、調査研究のためのツール・読書ガイドなどのお役立ち情報もあります。志ある高校生はぜひ読んでみてほしい。

国語科 小野