大妻多摩中学高等学校

第76段

“Ladies First” の文化

10月のある日、大学に行こうと電車に乗っている時のことでした。大学の最寄り駅 Park Road Stationに電車が到着し、いざ下りようと乗降口に向かうと、初老のご婦人が立っていらっしゃいました。ここは Ladies Firstで先に降りていただき、自分は後に続いて下りようと思いました。こちらの電車は東京とは異なり、自動ドアではありません。降りる人は車内のドアに付いているハンドルを回して(新型車両ではボタンを押す)ドアを開ける、乗る人はドアの外のハンドルを回して(新型車両ではドアの外のボタンを押す)乗り降りをします。しかし、このハンドル、回すのに結構力が要るのです。時々故障なのか固くて動かせず、慌てて違うドアまで走って行って乗り降りする人を見かけることがあります。

さて、先ほどの話に戻りますが、その初老のご婦人と私が乗っていた電車もこの旧型のハンドル式の電車でした。駅について降りようとしたのですが、このご婦人、何もせずドアの前に立ったままなのです。明らかに降りる気配なのですが、両手に何かを持っていて手がふさがっている様子でもありません。この間、1秒あるかないかでしたが、咄嗟にご婦人の前に出てハンドルを回してドアを開け再び後ろに下がると、私の方を振り返ってニコリ、そして “Thank you.” という言葉でした。その何とも言えない優しい眼差しと気品のある笑顔に、やはり「私にドアを開けてほしかったのだな」と確信するとともに、これが本当のLadies First なのかと実感しました。もちろん、若い女性は自分達でドアをすぐに開けますが、仮に私がそこで開けても、きっと同じように挨拶をしてくれると思います。ただ、このご婦人のようにドアの前で後ろの男性が開けてくれるのを待つことはないと思います。自動ドアが普通の東京ではまず考えられない経験でした。写真は新型車両のものです。乗降口の天井からぶら下げられているバーは、つかまるところです。日本の電車のようなつり革は、こちらの車両にはありません。つかまるところはこのバーと、あとは写真でも見える通路側座席の背もたれの上のみです。ドア近くの緑のプレートの上に、銀色の丸い開閉ボタンが見えますか。

日本でも田舎の電車は自動ドアではなくて同じように押しボタン式のドアですが、このような Ladies First の文化は恐らく見かけられないのではないでしょうか。むしろ若い人たちは我先にドアを開けて乗り降りしてしまうような気がします。また、2月に本校にいらっしゃった Brigidine College のカール副校長先生が驚いておられたように、車内で日本のように寝ていたりゲームをしている人を見かけることはめったにありません。皆さん、何かを読むか音楽を聞くか、話をするか外を見るか黙って座っているかなのです。最初は何故かと思いましたが、半年乗っていて想像するに、皆さん体格が大きいので誰かが降りる際には立ち上がって通路を空ける必要があるので、おちおち寝てもいられないのでは、というのが私の勝手な推測です。失礼しました。それでは、またオーストラリアから寄稿します。スィーヤ!(オーストラリア訛りの See you!)

日本とはあまりにも異なる電車内部
【写真:日本とはあまりにも異なる電車内部】
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英語科 伊藤