大妻多摩中学高等学校

第78段

 クリスマスから年末になると、住宅街の一角をきらきら光らせている所がある。他人に迷惑をかけているわけでもないのだが、単純に「綺麗だなァ」と嬉しい気持ちにはなれない。あくまで個人的な意見である。
 イルミネーションを求めて晴れやかな場所に行く時、その目的地がきらきら光っているのはよいだろう。しかし、住宅街は人の日常が詰まっている。幸不幸も混在しているだろう。そう思うと少し複雑である。
 こんなふうにひねくれて考えることに違和感を持つ人もいるかもしれない。知人にも、「同意しますが、その考え方は一般的ではないですね」と忠告された。もちろん悪く解釈するのはよくない。光らせることで、周りの人を元気づけようとしているのかもしれない。ひょっとしたら自らの不幸を吹き飛ばしたい思いで光らせているかもしれない。
 でも世の中は、「無縁社会」「幼児虐待」「所在不明高齢者」などいろいろな社会問題であふれている。ぎりぎりのところで生きている人も多い。余裕のない人も少なからずいるだろう。
 年末年始は、幸不幸が極端にその人を直撃する時期でもある。だからこそ、他者の境遇にも「ひょっとしたら?と思い至る」ような視点は常に持ち続けたいと思う。
 そして一介の教員として、生徒にも「他者の境遇を想像することの大切さ」を訴えていきたい。自戒の念も込めてだが、新年を迎えてふとこんなことを考えてしまった。
 小難しいことを述べてしまった。気を悪くしないで欲しい。だがこれからも、日常の出来事を考えていく機会として、ちょっとした切り口で表現していきたい。

井の中の高野聖