大妻多摩中学高等学校

第91段

授業が終わった後、生徒が質問にきた。その内容は、次の授業でふれる事柄に関係するものだった。授業中に説明しながら、私は、「すべて納得するところまでいかないだろう」と思い、あえて一部分説明せずに終わってしまった。奇しくもその生徒はそこに疑問を持ったのである。これはすごいと思うとともに、ある教訓を得ることができた。
 教員は基本的にきまじめなので完璧な授業を目指そうとする。つまり、その時間で疑問点をつくらない授業である。しかし、少し疑問を持たせるような一部不完全な説明のほうが、むしろ生徒は意欲的に考えるのではないかと気づいたのだ。その生徒は、次の授業への架け橋となるところまで積極的に考えてしまったのだろう。
 次に「余韻」を残す授業。これこそ大切ではないか。恥ずかしいが、最近このように考えるようになった。



                                                                  井の中の高野聖