大妻多摩中学高等学校

第121段

私は高校生の時、物理の先生に「高校2年生ぐらいになったら、マルクスの本の1冊や2冊は挑戦した方がよい」と言われた。少しでも教養を積みたいと考えていた私は『資本論』に挑んだ。結果は大敗北だった。まったく意味が分からなかった。自分の教養のなさを改めて認識する。そして『共産党宣言』に挑戦した。短いからだ。読むことはできたが、本質的理解にはほど遠かった。

改めて大学生となって挑戦する。その時は一文一文の深さが少し分かったような気がした。ちょっとは進歩したのだろう。そして3度目の今。新たな発見に出会う。

本は十年越しでも繰り返し読むことが大切なのだろう。人生経験を積んだうえで読むとみえてくることもある。

物理の先生は「やさしく分かりやすい本に甘んじるのではなく、挑戦することの大切さ」を教えてくれたのかもしれない。今、とても感謝している。

井の中の高野聖