大妻多摩中学高等学校

第122段

“ A Different Culture ”

 毎朝早い時間帯の多摩線に乗ると、普通では見られないような光景を目にします。乗っている人が少ないためでしょう。先日はおじさんが一人乗ってきたかと思うと、その場で作業着に着替え始めました。「ちょっと待ってよ!」と言いたいくらいの驚きでした。でも、これは特別としても、朝は物を食べている人が多いです。本当に食堂車のようです。「空いているので人目があまり気にならない」と思ってのことでしょうが、同じ車両に乗っているこちらとしては、やはりあまり心地よくありません。車内には色々な食べ物の臭いが充満しています。

それで思い出したことがありました。昨年オーストラリアの Queensland University に留学しているとき、よく図書館に詰めて勉強していました。広くて快適な PC 環境が整った図書館は私のお気に入りで、よく通って論文を読んだり作ったりしたが、一つ問題がありました。それは、あちらでは図書館での飲食がかなり公然と行われていたのです。壁には禁止の張り紙があったので、してはいけないことは明らかでしたが、そんなことは意識にもない学生が、もちろん全員ではないですが、日本では考えられないほど多かったです。オージー達も食べていましたが、インドネシアやベトナム、タイなど東南アジア出身の留学生に多かったです。もしかしたら、彼らの祖国では図書館での食事は許されているのかと思えるほどでした。静かな図書室(とは言っても、日本ほどではありませんが)に、「パリポリ」とチップスやリンゴをかじる音がこだましたり、サンドイッチの臭いが漂うことはざらでした。私のすぐ隣りに座っていても、11時を回るとカバンからランチを取り出し平然と食べ始めるのです。一番困ったのは、彼らのエスニックランチでした。とにかく中華の強い臭いが、ふたを開けるだけで辺り一帯に漂うので、空腹の時は本当に辛かったのを覚えています。

ちなみに私はどうかというと、やはり図書館で公然とランチを食べることには抵抗感がったので、ペットボトルを手に広い緑の天然芝グラウンドに出てベンチや木陰で食べていました。きれいな青空に美しい緑、そしておいしい空気がおかずだったので、毎日おきまりのサンドイッチでしたが、美味しく食べることができました。ささやかだけど贅沢な一時でした。でも、ここでも一つ問題がありました。それはこのランチを狙って集まってくる鳥たちでした。一度だけ、あまりに可愛いのでパンのかけらを1羽の小鳥に与えたところ、たちどころに至る所から集まってきて、しかも私のランチめがけて飛んできたのです。古い話しですが、あのヒッチコック監督の名画「鳥」さながらでした。少し大げさか。それ以来、鳥たちとは一定の距離をとり、食べ終わってから袋の底のパンくずだけを与えるようにしました。

図書館に漂う強烈なエスニックランチの臭いと、美しいグラウンドで鳥たちに警戒しながら食べたランチ。朝の多摩線の車両の中で思い出しました。生徒の皆さんは、電車の中では…ですよね。

図書館の中にある、よく使っていたPCの座席
【写真:図書館の中にある、よく使っていたPCの座席】

よくランチを食べたグラウンドのベンチから
【写真:よくランチを食べたグラウンドのベンチから】

英語科 伊藤