大妻多摩中学高等学校

第138段

 先日、荻窪のとある日本料理屋に行ってきました。そのお店はある雑誌で紹介されていたところで、一品一品の料理に合わせて、日本酒を出してくれるということでした。よい日本酒を取り揃えている店は数あれど、それぞれの料理に合わせて様々な日本酒を出す店はそうそうありません。一月以上前に予約し、胸踊らせていったのですが… 
 思っていた以上に素晴らしい店でした。料理はいうまでもなく素晴らしいもので、さらに季節感溢れる盛り付け。日本料理は目で楽しむものだという側面をまざまざと見せつけてくれました。 日本酒の酒器もそれぞれのお酒の味に合わせて店主が選び抜いたものばかり。酒器でも楽しませてもらいました。日本酒は単なるお酒ではなく、日本文化の重要な一部をなしていると普段から思っている私にとっては素晴らしいひとときでした。
 そして、味より何よりも大事だと改めて思い知らされたのが、お店の方々の人柄。やさしく穏やかな雰囲気の中で、細やかな心遣いを受けながらの時間は本当に幸せでした。美味しいものをいただき、「魂を抜かれる」とはこういうことなんだと、人生で初めて実感しました。
 真剣に精魂込めて作られた料理を、カウンター越しに主人と向き合ってしっかりと味わい、受け止める。 個人的には京都の「瓢亭」を凌ぐほどの至高の体験でした。
                               国語科 矢澤