大妻多摩中学高等学校

第143段

年の瀬のある夜、最寄り駅にほど近いところにあるフレンチの居酒屋へ。こんな場所に?と思えるところにあるこの店は、実はなかなかの店なのです。

都心のフレンチのお店なら1000円以上するであろう料理が、ほとんど1000円以下。一番高い料理でも2000円。都心なら軽く3000円以上しそうな料理です。シェフはかつてあの「料理の鉄人」でも有名な坂井シェフと同じ職場にいたこともあるそうです。他の客に聞くところによれば「ソースの達人」とも呼ばれていたらしい。その真偽の程はともかく、味は確か!ワインもほとんど利益をのせていないリーズナブルな値段。月に何回かは行くほどのお気に入りです。

今年最後の外食はこのお店でと思い訪れましたが、この日はとても幸運な夜になりました。
実はこのお店の常連にドリアン助川さんという方がいらっしゃいます。ご存知でしょうか?ドリアンさんは作家、詩人、ミュージシャン、道化師であり、深夜ラジオのパーソナリティも務め、現在も朝日新聞で「悩みのレッスン」を連載中の多才な方です。
ドリアンさんがこの店の常連であることはシェフからも話しを聞いていたし、ドリアンさんのサイン入り著書がここで販売されていて、それを購入したこともありました。

この日、ドリアンさんが編集者の女性と食事にいらしてて、シェフを介して紹介していただきました。ミーハーにも一緒に写真まで撮っていただきました。
他のお客さんがいなくなった頃、シェフはお店を早々と閉店にしてしまい、ドリアンさんたちと私とみんなで飲むことになりました。ドリアンさんは近くにある自分のアトリエから著作を数冊と、ギターを取ってきて、著作5冊ほどにサインをして私にプレゼントしてくれました。その後は、ドリアンさんのギターの生演奏、さらにお店のバイトで同じくギターをやっている青年との即興での演奏が始まり、なんと貴重な場面に立ち会っているのだろうと、夢のような心地がしました。
一週間遅れのクリスマスプレゼントのような、また今年の最後の最後にあった大どんでん返しのような、本当に“大幸運”な一夜でした。人の縁ってこんな感じでつながっていくんだなと改めて感じさせられました。

ちなみにドリアン助川さん(執筆の際は明川哲也という名前)の最近の著書『大幸運食堂』(PHP研究所)はこのお店がモデルなんです。作品中の短編『花丼』に登場する“花丼”もここで食べられます。『大幸運食堂』は心温まる短編集です。みなさんにもお薦めします。

※1月7日(土)朝8:05~8:45 NHKラジオ第一 ラジオ文芸館 『花丼』が朗読されます。

これが花丼です。ほんとに美味しい!

国語科 矢澤