【高3】古典探究 源氏物語和歌おみくじ
更新日時:2025年1月17日

【高3】古典探究 源氏物語和歌おみくじ
いよいよ共通テスト前日となりました。
高校3年生の教室付近の廊下には、約1年前、高校2年生の必修古典探究の授業の最後に自分達で作成した「源氏物語和歌おみくじ」が置いてあります。
新課程1年目となるこの学年からは、授業名が「古典探究」となり、より主体的な深い学びを目指すことが望まれています。
課題内容は、《『源氏物語』作品中の和歌を一首選び、その内容を調べた上で自分なりの解釈を加え、おみくじを作成する。高校三年生の秋~冬に、学年内の生徒の誰かがこの「おみくじ」を引くことを想定し、その際に、前向きに進んでいけるような内容を考えて書こう。》というものです。
生徒達はそれぞれ、物語中の複雑な人物関係、そこから生み出される難解な和歌を自分なりに読み解き、メッセージを導き出しました。
例えば、
「いくかへり露けき春をすぐしきて花のひもとくをりにあふらん」(雲居雁との恋がようやく認められ、結婚が許された場面での夕霧の歌)からは、「幾年もの辛い思いをしながら耐え抜き、最後までやりきるべし」、
「寄りてこそそれかとも見めたそかれにほのぼの見つる花の夕顔」(夕顔の和歌に対し、「もっと近寄ってみましょう」と語りかけるような光源氏の返歌)からは、「目の前にあるチャンスを逃さないことで、新たな道が拓けます」、
「手に摘みていつしかも見む紫のねにかよひける野辺の若草」(年端もいかない少女であった若紫を見初めた光源氏が詠んだ歌)からは、「欲しいものを諦めずに追い続ければ、未来が明るくなります」、
というように。
作中の和歌は、希望に満ちた明るい歌ばかりではありません。しかし、
「常世いでて旅の空なるかりがねも列におくれぬほどぞなぐさむ」(須磨へ退去する光源氏が雁の鳴き声に望郷の思いを詠んだ歌に続く、前右近将監の唱和歌)からは、「仲間と一緒なら大丈夫。自分を信じよう」、
「本つ香のにほへる君が袖振れば花もえならぬ名をや散らさむ」(紅梅大納言が娘を嫁がせたいと匂宮へ贈った歌)からは、「あなたの行動が世界を変えるでしょう」、
というように、角度を変えて読み解くと、大きな心の支えとすることができます。
ともすると受験生を苦しめる科目のように認識される古典も、35期生の互いの読解力と想像力で、希望進路実現に向けての大切な糧となることを願います。
(仕上げ作業の様子)
(*和歌引用「新編 日本古典文学全集」(小学館)より)