大妻多摩中学高等学校

【校長室より】アメリカの図書館あれこれ

ペンシルヴァニア大学ヴァン・ペルト図書館、建物の前に現代アート、「割れた ボタン」があります。

ペンシルヴァニア大学ヴァン・ペルト図書館、建物の前に現代アート、「割れた
ボタン」があります。

私はアメリカ文学やアメリカ演劇を研究しているので、アメリカの大学図書館に行っていろいろな文献を探します。100年以上前に出版された初版本などは稀覯本(古い本や珍しい本など)を所蔵している特別の図書館で探します。80年代に訪れたときには、目当ての本が見つかっても直接ふれることはできず、白い手袋をした図書館員が書見台(本を読むためのスタンド)に載せて広げてくれるのを眺めるだけでした。
古い本はコピーをすればページがはがれてしまうのでひたすら書き写すだけ、インクが入っているボールペンや万年筆はもちろん使えず、鉛筆を使います。その頃は閲覧者の鉛筆を走らせる音だけが閲覧室に聞こえるだけでした。その10年後にふたたび同じ図書館を訪ねてみると、今度は鉛筆に代わってパソコンのキーボードをたたく音だけがカタカタと響いていたのが印象的でした。

ハーバード大学ホートン図書館。稀覯本を多数所蔵しています。

ハーバード大学ホートン図書館。稀覯本を多数所蔵しています。

演劇の場合、初演された翌朝の劇評がもっとも重要になってきます。いろいろな劇評家がそれぞれの新聞に寄稿するのですが、彼らの劇評によってその劇が数日で閉幕することもあれば、一年以上続くロングランになることもあるのです。90年代までは図書館で過去の劇評を調べようと思って図書館員に依頼すると、新聞の切り抜きが何枚も無造作にはさまれた紙製のファイルを渡され、ばらばらになったその切り抜きを破らないようにしてコピーするのは一苦労でした。その後劇評は年鑑のようにまとめられ閲覧できるようになりましたが、今では劇のタイトルを入力すれば過去の劇評でも簡単に見つけられるようになりました。

昔も今も図書館は知識と情報の宝庫です。図書館をうまく使いこなすかは使う人しだいです。