大妻多摩中学高等学校

【校長室より】2018年度 高校修了式 

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みなさんは高校のそれぞれの学年の課程を修了して、3年生は大学での新しい生活、そして1,2年生はこれから先の大学入試に対して新たな決意が芽生えたのではないかと思います。

今年は日本でも世界でも女性の地位について考えさせられる問題がありましたが、みなさんはそれらを自分のこととしてとらえているでしょうか? 2017年10月に始まった、ハリウッドのプロデューサーによるセクハラを告発した女優たちの運動#Me Tooは、Me Too(私も被害にあった)と告白する女性たちが相次ぎ、この運動はセクハラや性暴力の被害体験を告白するためのネットワークサービスとして世界中に広がりました。女性の権利擁護の高まりは科学や医学分野に及び、女性として55年ぶりにノーベル物理学賞を受賞した、カナダのウォータールー大学のダナ・ストリックランド准教授は、受賞後に59歳にしてようやく教授に昇進したということです。日本では女性差別は別のところから表面化しました。

それは2018年7月に起きた東京医大の不正入試発覚に端を発した、一般入試における女子受験者に対する不当差別発覚でした。「結婚や出産で離職する女性医師が多い」ため、女子の合格者の数を意図的に減らして差別的な扱いをしていたことが明らかになったのです。バルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)、フランスやフィンランドなどは医師の男女比率はほぼ同数かそれ以上ですが、現在日本の女性医師の割合は男性医師の約2割。日本では医学部を卒業し、臨床研修を終えた直後の若い世代では就業率は95パーセントにもかかわらず、過酷な長時間労働が仕事と家庭の両立を難しくしていることから20代後半から30代前半の女性医師の就業率は下がるといいます。つまり日本では女性が医師として継続して働きやすい環境を整備することなく、医師として仕事を続けられないのは女性本人の理由からであるかのようにとらえられてきたのです。

半年ちかくの文科省の調査の結果、他大学の医学部入試でも女子学生に対する差別が行われていたことが明らかになりましたが、「女性は年齢を重ねると医師としてのアクティビティが下がる」とか「女子はコミュニケーション能力が高く、男子を救うために補正した」という差別理由が、大学当局からはばかられることなく表明されたのは驚きます。

世界経済フォーラムは毎年ジェンダーギャップ(男女格差)の大きさを国別に順位をつけていますが、2018年の報告書によれば、日本は149か国中110位、前年より4つ順位を上げましたが、主要7か国の中では今年も最下位でした。政治分野では女性議員や閣僚の数の少なさ、女性首相もまだ誕生していないことから125位、経済分野でも管理職登用の遅れから117位、教育分野では初等・中等教育は100点満点だが、高等教育の就学率では103位に後退しています。

今はみなさんは先生方やご両親に守られて大学入試に向けて勉強していると思いますが、日本だけでなく世界中ではさまざまな差別があることに気付いてくると思います。今は女子だけの温かい環境で過ごしていると思いますが、正しい知識を身につけ、現実を認識する力を身につけ、自信をつけることが必要になってくると思います。

今はインターネット、メディアの世界も急速に発達し、情報もふんだんにあります。皆さんは日々の勉強に励み、外の世界にも目を向けつつ、正しい判断力のもとに賢く世界を生きていただきたいと思います。