大妻多摩中学高等学校

【校長室より】フェミニスト、メーガン・マークルさん

フェミニスト、メーガン・マークルさん(サセックス公爵夫人)

中高棟グラウンドのバラ1
中高棟に咲くバラ

5月19日、英国のエリザベス女王の孫であり、ダイアナ元妃の次男であるヘンリー王子(一般的にはPrince Harryと呼ばれている)が、離婚歴のあるアメリカ人女優であるメーガン・マークルさんと結婚し、国中がお祝いムードに包まれているといいます。メーガンさんの母親がアフリカ系であることも話題の一つになっており、ロンドン郊外のウィンザー城で行われた式にもアメリカ聖公会初の黒人首座主教となったマイケル・ブルース・カリー師が説教をし、黒人のゴスペルシンガーたちが二人の結婚を祝福して「スタンド・バイ・ミー」を歌う様子がテレビで放映されました。

歴史的に英国国王の結婚相手が外国人であることは多く、国王自身も外国から迎えることもしばしばありました。1066年から英国を統治したフランス人のウィリアム1世をはじめとして、12世紀のプランタジネット朝を始めたのもフランス人のヘンリー2世。世継ぎが途絶えた18世紀のハノーバー朝に迎え入れられたドイツ人のジョージ1世はほとんど英語を話せず、「君臨すれども統治せず」といわれました。またヴィクトリア女王も結婚相手であるアルバートをドイツから迎えるなど英国王室は代々フランスやドイツとつながりが深いのです。「離婚歴あるアメリカ人女性」という点では、1930年代に皇太子だったエドワード8世がアメリカ船舶会社社長アーネスト・シンプソンの妻ウォリスと恋に落ちたことが世間を騒がせました。エドワード8世は離婚歴のあるシンプソン夫人と結婚するために国王の座を放棄しました。

英国王室はダイアナ元妃の離婚と交通事故死のようなネガティブなニュースで人気に一時的に陰りがでたものの、エリザベス女王が2018年4月で92才を迎え、女王在位66年という世界第一位の長期在位君主となる慶事に加えて、孫のウィリアム王子とケイト妃の第3子であるルイ王子誕生とハリー王子の結婚のニュースは、英国だけでなく世界中から温かく迎え入れられました。

中高棟グラウンドのバラ3

女優として映画やテレビで活躍していたメーガンさんは、若いころから社会奉仕やボランティア活動に参加し、UN Womenでスピーチしたこともあるフェミニストです。「ジェンダー平等と女性のエンパワメントの国連機関」であるUN Womenでは、2014年に女優のエマ・ワトソンがスピーチして話題になりましたが、メーガンさんが2015年に話したスピーチが今改めて注目を浴びています。それは彼女が11歳の小学生の時に起こした行動についてでした。

小学校の授業である番組を見ていた時のこと、食器用洗剤のコマーシャルで次のようなせりふが流れました。“Women all over America are fighting greasy pots and pans.”(アメリカ中の女性たちが油でべとべとの鍋やフライパンと格闘しています。)するとクラスの男子生徒がこう言いました。"Yeah, that’s where women belong, in the kitchen.” (そうだよ、女の人がいるところはキッチンさ。)「女性の居場所はキッチンだ」という差別的なメッセージにショックを受けたわたしは父に相談し、当時の大統領夫人のヒラリー・クリントン、子ども向けニュース番組の女性司会者、有名女性弁護士と洗剤会社に手紙を書いたのです。驚いたことに2,3週間後にはそれぞれから返事が届き、子どもニュース番組は私にインタビューするためにわざわざ撮影クルーを自宅までよこしたのです。洗剤会社も返事をくれ、およそ一か月後にはコマーシャルのせりふは“Women all over America~” から“People all over America~”に変わっていました。このときわたしは子どもでも社会を変えるために行動を起こせることを知ったのです。(インタビューに答えているメーガンさんの映像はネットで見ることができます)

女優のかたわらUN Womenの活動としてルワンダやジンバブエなどの開発途上国を訪れボランティア活動を行っていたメーガンさんの姿は、ハリー王子にとって、反地雷活動やエイズ患者を支援し、100以上の慈善団体の後援をした母であるダイアナ元妃とも重なるところがあったのでしょう。長い歴史と伝統のある英国王室に一般人、それもアフリカ系アメリカ人女性が嫁ぐこと自体紆余曲折があったと思いますが、エリザベス女王をはじめとする英国王室の懐の深さを感じさせる結婚式でした。メーガンさんのフェミニストとしての真摯で公正な姿勢が、英国王室に新しい風を吹き込んでくれるのではないでしょうか。