大妻多摩中学高等学校

【校長室より】花々の香りに包まれる多摩キャンパス

花々の香りに包まれる多摩キャンパス

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4月になると桜が咲きそろう多摩中高への坂の片側に、先日列になって咲いている黄色の水仙を見つけました。球根の間は地上にその姿を表わしませんが、日中の暖かさに誘われて花を咲かせました。小ぶりの黄色の花をつけて、良い香りがします。よく庭に咲いている花弁が白で中央が黄色の日本水仙とはちょっと違うようです。調べてみると日本水仙はNarcissus「ナーシサス(ナルシストのこと)」、多摩キャンパスの水仙は俗にいう「香り水仙」Narcissus Jonquilla 「ナーシサス・ジョンキル」らしい。

そういえば「ジョンキル」という名称は、アメリカ演劇の巨匠ともいえるテネシー・ウィリアムズの自伝的回顧劇『ガラスの動物園』の中で、社会に順応できない息子と娘をもつ母親が、南部農園で暮らしていた若かりし頃を思い出す場面に出てきます。「あのころわたしはジョンキルをたくさん摘んでは家中の花瓶にさして、もうこれ以上摘んでこないでとお母様によく言われたものだわ」夫に去られ、女手一つで息子と娘を育てているがなかなか暮らしは楽にならない。彼女がすがりつくのは南部農園のお嬢様として何不自由ない暮らしをしていた過去の思い出。「あのころは熱に浮かされたようにジョンキルばかり摘んでいた…….」

もう1種類、水仙といえばイギリスのロマン派の詩人ワーズワースのThe Daffodilsはとても有名です。これはラッパ水仙、大ぶりの花を咲かせとても華やかです。

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 20180319校長室より花の香③

I wondered lonely as a cloud
That floats on high o’er vales and hills,
When all at once I saw a crowd,
A host, of golden daffodils;
Beside the lake, beneath the trees,
Fluttering and dancing in the breeze.

わたしはただ一人、谷間や丘の上はるかに漂う
雲のようにさまよい歩いていた
そのとき思いもかけず群生している
黄金色の水仙を見つけた
湖の畔に、木々の根元に
そよ風にふかれて花びらを揺らし踊っている

たった一人で山野を散歩していたら、偶然黄水仙がたくさん咲いているのに出くわした。湖の畔や木々の根元に群れになって咲いている水仙、風が吹くとバレリーナが黄色のスカートを翻して踊っているように見えるというこの詩、ワーズワースの代表作であると同時に春を歌う詩として知られています。ここには4スタンザ(連)の最初のスタンザのみ挙げましたが、英詩の決まり事である韻を踏んでいることがわかります。一行目のcloudと3行目のcrowd、2行目のhillsと4行目のdaffodils、そして5行目と6行目のtreesとbreezeです。つまりこの詩はABABCCと韻を踏んでおり、弱強のリズムで声に出して読んで見ると、黄水仙が風にそよぐ感じがよくわかります。

香りを放つ多摩キャンパスの「香り水仙」、そしてそのすぐそばに花を咲かせている沈丁花、ともに春の香りを届けてくれます。鶯ももうじき歌の練習を始めるでしょう。桜の開花が待ち遠しい多摩キャンパスです。