大妻多摩中学高等学校

【校長室より】ドイツ旅行雑感

ドイツ旅行雑感

20170122校長室より_ドイツ、ビーレフェルトの旅⑯城跡から市内を眺める

今回久しぶりに海外、それも英語圏以外の国に出かけて思うところがありましたので、感想を書いてみようと思っています。一つは外国語(ドイツ語)について、もう一つは他人に対する親切についてです。

私の大学時代、第二外国語といえばフランス語とドイツ語でしたが、最近は中国語、韓国語、スペイン語がこの二か国語の人気をしのぐようです。私は英文学科でしたので第二外国語を履修する必要がありませんでしたが、大学卒業後にスペイン語とフランス語を初級程度勉強しました。そしてこのたびのドイツ訪問です。英語でどうにかなると思っていたのですがその予想ははずれ、空港やホテル、駅などは英語が通じるものの、表示やアナウンスは圧倒的にドイツ語だけ。それに鉄道の時刻表のいい加減なこと、工事中なのでしょっちゅうダイヤが変更になるとは聞いていましたが、その日の朝刊に載った時刻表と実際のダイヤも異なり、早めに駅の電光板を見てやっと出発時間を確認するといった具合でした。電車に乗っても、日本のように停車駅の表示があるわけでなし、アナウンスもドイツ語だけなので一人だったらとても心細い思いをしたでしょう。幸い同行した先生が英語もドイツ語もできる方だったので、パソコンでも調べたりして無事目的地に着くことが出来ました。

世界中で母語話者が最も多い国と言えば、資料によって多少数は異なるものの、中国語の13億9000万人から、ヒンディー語5億8800万人、英語5億2700万人、アラビア語4億6700万人、スペイン語3億8900万人、ロシア語2億5400万人、ベンガル語2億5000万人、ポルトガル語1億9300万人、そしてドイツ語1億3200万人、日本語1億2300万人、フランス語1億1800万人、イタリア語6700万人と続きます。(ワシントンポスト、2017)

日本語が日本国内以外で話されている場所が限られているのに対して、ファッションや映画などおしゃれなイメージのあるフランス語は、国際連合、欧州連合の公用語でもあり、フランス国内やベルギー以外に、かつて植民地であったアフリカの途上国で多く使われています。一方ドイツ語はドイツ以外にベルギー、ルクセンブルグ、オランダ、オーストリア、スイス、リヒテンシュタインなど、ヨーロッパで広く使われていることがわかります。国際共通語としての英語の習得はもちろんのことですが、将来グローバル社会で活躍するには英語以外に中国語、スペイン語、フランス語、ドイツ語などもう一か国語外国語を習得しておくよいことがわかります。そこで私も遅ればせながらドイツ語を勉強と思い立ちました。交換留学でドイツから日本に勉強しにくる生徒たちのためにも、英語のコミュニケーションだけでは申し訳ないですものね。

もう一つは、海外から帰国するたびに感じていた、「日本の男性ってなんて不親切なの?」です。私は何でも人に頼らずに出来ますが、海外旅行中、重い荷物を持っていたり、道に迷っていたりすると、男女に関係なく誰かが声をかけてくれて助けてくれることが多かったのです。手荷物のスーツケースや大きな紙袋などを持って飛行機に乗ると、頭上の荷物入れの出し入れはたいてい近くの大柄の外国人男性がやってくれることが多かったのですが、帰国するやだれも手を貸してくれないことに気づきます。確かに日本ではよほどのことがないと他人の行動には手を貸さない。逆にお年寄りの荷物を持ってあげようと思っても、取られるのではないかとその人から怪訝な顔をされます。また車内を占領している大きなベビーカーに対しても、移動のときに他人が手を貸しているのを見たことがありません。迷子かと思って一人きりの子供に声をかけても、「知らない人に声をかけられてもついていっちゃだめよ」と言われているからか、その子から恐怖のまなざしで見られてしまいます。他人の行動にはまったく手を貸さないのかと思いきや、線路に転落した人を何人もの人が助けたとか、先日は車内で出産した女性を隣にいた元看護士さんや女性たちが協力して助けたという報道が話題になりました。

今回の旅行では、ベビーカーの電車の乗り降りはたいてい誰か近くにいる男性(他人)が助けているのを見かけましたし、お年寄りの荷物の上げ下ろしも、頼んだわけでもないのに近くの若者が手伝っていました。外国人がみんな女性にやさしいフェミニスト(この言葉にはさまざまな意味があるので安易に使いたくはないのですが)というわけではなく、子供のころからそう躾けられているというか、弱者に対して自然に出てくる行動なのだと思いました。

学校内で私が大きな荷物を持っていたり、壁にポスターを貼っていたりすると、たいてい生徒のみなさんが助けてくれます。また怪我した生徒とエレベータを乗り合わせたときでも、ボタンを押してくれて、私を先に降ろしてくれるのも生徒です。確かに校内では私の方がはるかに年上ですからみなさんが助けてくれますが、電車内や路上で見知らぬおばさんに声をかけて助けますか?直接何かを尋ねられたり、頼まれたら手を貸すかもしれませんが、自分から率先して声を掛けてまで他人に手を貸さないでしょう。また知らない人には手を貸さない方がいい場合もあるので、それはその人の感じや雰囲気から察しなくてはなりません。日本は手を貸すにもあまりにせかせかしてい過ぎる、または混雑しすぎていて人を助ける余裕がないのかもしれません。