大妻多摩中学高等学校

【校長室より】リレー「怖い話」

リレー「怖い話」

宮辻薬東宮

夏の中学一年生の林間学校に引率した時、わたしは一組のバスに乗りました。多摩センターを出発してまもなく、「現地に到着するまで何をしたいですか」と旅行委員がみんなに尋ね、いろいろな意見が出た中で決まったのが、「怖い話」をリレーで繋いでいくというものでした。始まってみるとこれがとても面白かったのです。

クラス40名が5,6名ずついくつかのグループに分かれていて、それぞれがすでに怖い話を用意してありました。最初の人が話を始め、二番目の人が話を繋いでいきます。「夜中に廃墟になった病院に行く話」とか「山道のお地蔵さんの話」など。「お地蔵さんの話」は、友達同士で山道を歩いているとお地蔵さんが並んでいるのに出くわした、そのうちに仲間の一人の姿が見えなくなったと思ったら、その子にそっくりな新しいお地蔵さんが列の最後に立っていた、といった具合。一人ひとりマイクを握って、「怖い話」を「怖~く」話していきます。みんな思わず話に聞き入ってしまい、本当に怖い場面になると「キャー」と悲鳴があがります。いつこんなことを考えたのでしょう。生徒たちがこのような企画を立てているとは担任の先生もご存じないようでした。私は生徒たちの企画力とストーリーテリングの巧みさに感心してしまいました。

ところで、最近出版された本に『宮辻薬東宮(みや・つじ・やく・とう・ぐう)』(講談社)があります。これは宮部みゆき、辻村深月、薬丸岳、東山彰良、宮内悠介の5人の人気作家が、2年の歳月をかけて全編書き下ろしのリレーミステリーのアンソロジー。登場人物も背景も全く異なるが雰囲気が似通っているもの、前の話から引き継がれているものなど5つの話が5つとも謎めいたミステリー仕立て、結末が納得いくものからなおさら不安感を掻き立てられるものまでありますが、ここでそれぞれのあらすじを書いても意味がありません。1作だけ読んでもそれなりに面白いのですが、このようなアンソロジーは通して読んでこそ意味のあるものです。図書館にありますので興味のある方は読んでみてください。