大妻多摩中学高等学校

【校長室より】「女の子はなんでできている?」

「女の子はなんでできている?」

女の子はなんでできている?①

イギリスに古くから伝わる童謡「マザーグース・ナースリーライム」にこんなのがあります。
「男の子は何でできている? カエルにカタツムリ、仔犬のしっぽ、男の子はこんなものでできている。女の子は何でできている?砂糖にスパイス、いいもの何もかも、女の子はこんなものでできている」 男の子はあんまりかわいくないものでできているけど、女の子はきれいで甘い、素敵なものでできているという意味でしょう。ここで見る限りは男女のジェンダーバランスがどうのという唄ではありませんが、このフレーズが使われているCMが今年話題になりました。

毎年6月にフランスで行われる世界最大の広告賞を選定するカンヌ・ライオンズ・国際クリエイティブ・フェスティバル(Cannes Lions International Festival of Creativity)で絶賛された作品があります。ロシアのCMということですが、場面はヨーロッパの歴史ある劇場、盛装した観客が拍手をする中、白の清楚なワンピースを着た一人の少女が舞台中央に進み出て歌い始めます。「女の子は何でできている?お花?指輪?噂話?そしてマーマレード、これが女の子ができているもの」 ロシアにもイギリスと同じような童謡があったのですね。そうです、ここでも女の子はきれいなもの、美しいもの、おいしいものでできていると少女は歌います。少女の歌声に満足そうにうなずく観客たち、すると少女の背後、舞台後方のドアが両サイドに開いたかと思うと女性スケーターが登場します。一瞬躊躇した少女は、ざわつく観客をものともせず、意を決したかのように歌を続けます。

「女の子は鉄と努力と自己犠牲と闘いでできている、女の子はこんなものでできている」 さらに舞台中央、そして舞台袖にはバレリーナと女子ボクサー選手が登場します。少女はさらに歌い続けます。「女の子は国家に捧げるプライドを与えてくれる忍耐と、優美さでできている」「女の子は青あざとパンチでできている、勇気と握りしめた拳でできている」 少女はひるまず歌い続け、舞台には次々と女子アスリートが演技をします。「女の子ができているもの、それは自立、技、情熱と心、尊厳、石より硬い意志、他人の意見から解き放たれた自由、強さと火、偉業と業績、こんなもので女の子はできている」「これがわたしたち(の代表である)少女ができているもの、あなたはあなたが成し遂げるものによって作られる」 いつの間にかサッカーボールを持っている少女はゴールに向かってシュートします。そして画面には「もっと信じて」の文字と「ナイキ」の商標が浮かび上がります。そう、これは「ナイキ」のCMだったのです。実は女子アスリートはみんなナイキのスポーツウェアを着ていたのですが、観客がそれと気づくのは最後の最後、女性はかわいくか弱いだけでない、強くて美しいことを前面に出した説得力あるCMです。

ロシアのCMなので少女はロシア語で歌いますが、英語字幕を追ってみましょう。

What are girls made of? Made of flowers, And of rings, Of gossip, And of marmalade,
This is what girls are made of.

Made of iron, And striving, Of self-dedication, And of battles,
This is what girls are made of.

Made of perseverance , And of grace, That gives pride to the entire nation,
Made of bruise, And of punches,
Made of bravery, And of clenched fists,
Made of independence, And of skill,
Made of will that’s harder than stone, And of passion and heart, And of dignity,
Made of freedom, From other people’s opinions,
Made of strength, And of fire,
Made of accomplishments and of achievements,

This is what our girls made of,
You’re made of what you do.
Believe in more.

日本のCMの中にはいまだに女性蔑視や差別的なものがあったり、家事や子育ては女性の役割といった性的役割があからさまなものがあったり、注意してみるとまだまだ男女平等とは言えないものも散見されます。広告の社会的責任が問われる現在では、男性的視点から製作されたようなCMは社会の批判を浴び、企業の存続も危うくしかねません。みなさんもCMを見るときには、企業がどのようなコンセプトで作っているのか、仮にその中のジェンダー表現に偏りがあったとしても、見ているうちに慣れてしまって当たり前になっていないだろうか、などちょっと注意してみることが大切です。

今回のカンヌでは日本の作品も多数受賞しましたが、上記のロシアのCMも含めて、映像的にも素晴らしいものがあるのでネットで探してみるとよいと思います。私が面白いと思った作品は、乃木坂46の伊藤万理華と高田静流が姉妹役を演じるプレイステーションのソフト、「重力猫」のPVです。この作品はゴールドライオン賞ほか7つの賞を受賞しましたが、実際に彼女たちが生活する部屋を作って、それを回転させて撮影するなどメイキング映像もありますので確かめてください。