大妻多摩中学高等学校

【校長室より】8月10日はスヌーピーの誕生日

8月10日はスヌーピーの誕生日
 
先週久々に銀座に行った帰り、三越デパートで「スヌーピーの誕生日」を記念して原画の展示やグッズを販売していたのでちょっと寄ってみました。会場はグッズを買い求める大人やこどもたちで混み合い、レジには行列が出来ていました。アメリカの漫画PEANUTSの主人公チャーリー・ブラウンの飼い犬スヌーピーは、新聞の連載が始まった1950年の2回目からすでに登場していましたが、誕生日が8月10日なのか、8月28日なのかはっきりしていませんでした。彼の誕生日が決まったのが2011年のこと、以来8月10日が正式な誕生日として毎年三越デパートではお祝いのイベントが行われるようになったそうです。(店員さん談) そこで家に帰ってきてから英語のYahoo.comを検索したのですが、スヌーピーのバースデーカードは出てくるものの誕生日の記述はどこにも見当たりません。でも今日8月8日改めてパソコンを開いてみたら、確かに8月10日がスヌーピーの誕生日とあります。なんと人間の年齢にして253歳の誕生日とか。アメリカのディズニーストアなどは幼稚園や小学生ぐらいのこどもたちが親にグッズを買ってもらう姿をよく見ますが、日本では中高生や大人向けの商品もたくさん並んでいます。三越のショップにも大人もほしくなるようなスヌーピーグッズがたくさんありました。(大人でもかわいいキャラクターグッズを持つというのは日本独特かもしれません。)
 
1922年、ミネソタ州セントポール生まれのチャールズ・M・シュルツが PEANUTSの連載を始めたのは、彼が3年にわたる軍隊での生活を終えた戦後の1950年のこと、彼はアシスタントを使わずに2000年に亡くなるまでの50年間ひたすらこどもたちの生き生きとした生活を描き続けました。チャーリー・ブラウンをはじめ、彼の友達やそのきょうだいたちが描かれるこの漫画には大人は登場しません。もともとのタイトルはLi’l Folks(「ちびっこたち」)、そのうち出版社がシュルツの意に沿わないPEANUTSというタイトルを採用してからは、シュルツは副題に必ずGood ol’ Charlie Brown(「いいやつチャーリー・ブラウン」)をつけて連載を続けました。野球好きで不器用だけどみんなから愛されるチャーリー・ブラウンを中心に、ピアノを愛するシュローダー、心の相談室のスタンドを出してみんなの悩みを聞くルーシー、勉強よりもスポーツの得意なペパーミント、強い意志をもったピッグペンなど、いろいろなキャラクターが次々と登場します。なかでも、おしゃぶりの代わりの安心の毛布(security blanket)をいつも握っているルーシーの弟ライナスは年上のこどもたちのアイドル的存在ですが、同時に彼の思考は哲学的でもあります。
 

スヌーピー③
チャーリー・ブラウン サリー ルーシー

 

ここでようやくみんなの大好きなスヌーピーの登場です。シュルツの飼い犬だったビーグル犬をモデルとしたスヌーピーは、登場した初期のころは四足で歩いていましたが、60年代に入ると二足歩行になり、人間のようにしゃべりませんが、自分の考えが吹き出しで表されるようになります。彼は空想家でもあり、いろいろな動物の真似をしたり、撃墜王、サングラスをかけた大学生、外科医、弁護士、小説家などに変装するのが大好き。彼の定位置は犬小屋の屋根、60年代にはNASAの広報用マスコットに採用され、1969年5月アポロ11号が人類初の月面着陸を果たすと、彼自身も漫画のなかで宇宙飛行士として月面に降り立ちます。70年代になると彼の友達として黄色い小鳥ウッドストックが登場します。ウッドストックも話しませんが、スヌーピーとだけは気持ちが通じます。英語の‘snoop’には「クンクン嗅ぎまわる」「詮索好きな」という意味がありますが、スヌーピーはこどもたちにおせっかいを焼く犬ということなのでしょう。
 

スヌーピー① スヌーピー② ウッドストック
スヌーピー ベル ウッドストック

 

黒耳の白犬スヌーピーはこどもたちが持つ最初のぬいぐるみとしても好まれますが、ぬいぐるみがもつ「幸せはあたたかい子犬」("Happiness is a warm puppy.”)というふわもこの触感は、「安心毛布」とともにこどもたちにやすらぎを与えます。このようにこどもや犬を登場人物とするPEANUTSは、漫画といっても決してこどもたちだけのものではなく、よく読むと、彼らの個性豊かな会話とスヌーピーの思索は人生の真理をついた実に奥深いことがわかります。谷川俊太郎訳の日本版と原作の英語版とを読み比べてみるのもよい勉強になるでしょう。