大妻多摩中学高等学校

【校長室より】「多様性と寛容、そして教育」

「多様性と寛容、そして教育」―― バラクとミシェル、最後のスピーチ

 

キャンパスの沈丁花①

2期8年にわたって大統領の任期を遂行したオバマ大統領は1月20日の退任に先立って10日の夜に、通常はホワイトハウスで行われる退任演説を、彼が弁護士として貧困層の救済などの市民運動を始めたシカゴで行いました。未来に向かって“Yes, we can”で締めくくった大統領は、「われわれの若さ、推進力、多様性と偏見のなさ、危機に対するわれわれの無限の能力と改革は、未来がわれわれのものであることの表れだ」と、アメリカの多様性と寛容さを強調しました。(゛Our youth and drive, our diversity and openness, our boundless capacity for risk and reinvention mean that the future should be ours.”)

オバマ大統領のスピーチは言葉や文章の構成、語り口に至るまで説得力があることで知られていますが、それは彼の笑顔とユーモア、レトリック(修辞法)とジェスチャーにあるといわれます。

オバマ大統領がこのスピーチをする少し前の1月6日、ファーストレディのミシェル・オバマがホワイトハウスで最後のスピーチをしました。ファーストレディが退任挨拶をするのは珍しいのですが、ミシェル夫人は「全米カウンセラーの日」である1月6日に、その大多数が女性であるカウンセラーたちを招いて優秀カウンセラーを表彰しました。アメリカの高校では、成績、進学、家庭、心の問題などの指導をするスクールカウンセラーの役割は教員と同様大きいと言われます。ミシェルはとくに次代を担う若い人たち、学生、仕事をしていても再び勉強をしようとしている若い女性に向かって話しかけました。彼女が訴えたのは大統領と同じ「多様性」の大切さです。

「あなたがイスラム教徒であろうと、キリスト教徒・ユダヤ教徒・ヒンズー教徒・シーク教徒であろうと、これらの宗教は若い人たちに正義、思いやり、誠実さを教えています。ですからわたしは若い人たちに誇りをもってこれらの価値を学び実践し続けてほしいと思います。わたしたちの輝かしい多様性、つまり信仰や肌の色や信条の多様性は、私たちの存在を脅かすものではありません。……あなたは価値がないとかアメリカの物語に足跡を残すことができないと絶対に感じてほしくはありません。みなさんたちには、ありのままでいるという権利があるのです。」

゛And whether you are Muslim, Christian, Jewish, Hindu, Sikh—these religions are teaching our young people about justice, and compassion, and honesty. So I want our young people to continue to learn and practice those values with pride. You see, our glorious diversity—our diversities of faiths and colors and creeds—that is not a threat to who we are, it makes us who we are. …… Do not ever let anyone make you feel like you don’t matter, or like you don’t have a place in our American story—because you do. And you have a right to be exactly who you are.“

そしてミシェル夫人は次のようにスピーチを締めくくりました。「恐れないでください。いいですか、みなさん。恐れないでください。集中してください。しっかりとした意志を持ちましょう。希望を持ちましょう。力をつけてください。良い教育を身に着けて力をつけましょう。外の世界に出て、みなさんの限りない約束にふさわしい国家を築くためにその教育を使ってください。希望によって導かれ、決して恐れないでください。わたしはみなさんと共にいて、これからもずっとみなさんを応援しサポートするために働くことを知っていてください。」

So don’t be afraid—you hear me, young people? Don’t be afraid. Be focused. Be determined. Be hopeful. Be empowered. Empower yourselves with a good education, then get out there and use that education to build a country worthy of your boundless promise. Lead by example with hope, never fear. And know that I will be with you, rooting for you and working to support you for the rest of my life.

ITの発達により国と国の境界がなくなるというグローバル社会で決して忘れてはならないこと、それは多様性と寛容さなのです。自国第一主義や新たな壁を作るということではありません。未来は予測不可能ではありますが、人種や民族、宗教の違いを超えて、世界中の人たちが協調してこそ真の意味の平和が訪れるのです。ミシェル夫人は未来を担う若い人たち、特に若い女性たちに向けて、恐れず、意識を集中させて、決然と、希望を持ち、自らの価値を高めることの重要性を語ったのです。このスピーチは大統領の退任演説とともに、今ネット上でも優れたスピーチとして何度も再生されています。