大妻多摩中学高等学校

【校長室より】東大受験を諦めた「東ロボくん」

東大受験を諦めた「東ロボくん」。

東ロボくん①

先週末はセンター試験が行われました。高校3年生の皆さんは日ごろの勉強の成果が十分に発揮できたでしょうか。ここは最後のひと頑張り、私は皆さん全員が志望大学に合格すると信じています。

さて、チェスや将棋の世界でAI(Artificial Intelligence、人工知能)が人間に勝利をおさめる時代がやってきました。オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授によれば、10年から20年後には今ある仕事の半分がAIやロボットに取って代わられるといいます。ルールに従って仕事をしている事務職や受付係、ガードマンや建設作業員、自動車組立工などの仕事はAIが代わりにできるといいます。AIのほうが正確かもしれません。実際にホテルのコンシェルジュや客室係をAIが行っているホテルもあるといいます。しかし、教員や医師、美容師や理学療法士などの人とかかわる職業や、映画監督、画家、ミュージシャンなどクリエイティブな芸術にかかわる職業はAIでは難しいと考えられます。

国立情報学研究所が中心になって2011年に立ち上げられた「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクトの人工知能「東ロボくん」は、2016年までに大学センター試験で高得点を取ったにもかかわらず、昨年11月には東京大学合格は断念したとのニュースがメディアを賑わせました。「東ロボくん」は2015年には470以上の大学でA判定(合格率8割)を獲得しており、2021年には東大入試合格を目指していました。「彼」は蓄積した知識や論理的思考を試される数学や世界史は得意なのですが、読解力が必要となる英語や国語は苦手だといいます。「彼」は蓄積されたキーワードをつなげて瞬時に答えを出すことはできるが、人間が成長の過程で習得する常識的知識を持たず、文脈を読めるわけではないので、当たり前の前提条件や言外の意味が理解できないのだといいます。

鉄腕アトムからターミネータやベイマックスまで、かつてAIは小説やコミック、SF映画の登場人物でした。文字通り『A.I.』というタイトルの映画では、愛情という感情をもった人間のこどもそっくりのデイヴィッドが登場します。映像の世界では、未来永劫の生命をもったり、感情をコントロールできるAIが活躍しますが、プログラミングによって決まった作業はこなせても、人間のように複雑な思考や行動ができるAIが将来生まれるでしょうか。人間が作り出したコンピュータに人間が支配されるのは映画の中だけ、家族や学校、社会など様々な人たちとのかかわりを通して成長して何かを成し遂げることはコンピュータにはできません。自分だけでなく他人に対しての思いやりが持てるのが人間なのですから、AIが人間に勝てるはずがないと思いますが。