大妻多摩中学高等学校

【校長室より】「ごきげんよう」を世界へ 大妻多摩のグローバル戦略

「ごきげんよう」を世界へ
   大妻多摩のグローバル戦略

 

校長 谷林 眞理子

グローバル②

 

これは、2016年度の新学期にあたって、在校生のみなさんと、これから大妻多摩中学校を受験しようという小学生のみなさんに読んでほしいメッセージです。すこし長いですが、時間をかけて読んでみてください。

大妻多摩の授業は「ごきげんよう」で始まり、「ごきげんよう」で終わります。この「ごきげんよう」の挨拶は、朝夕のホームルームや式典をはじめ、「おはようございます」や「こんにちは」などの毎日の挨拶としても使われます。

 大妻コタカ学祖大妻コタカ先生は、女性が手に職をつけて経済的に自立できるようにと、1919年、日本で初めて大妻技芸学校の裁縫部に夜学を創られました。昼間は何不自由ない家庭のお嬢さんたちが通い、夜は昼間働いて自分で学費を稼がなければならない境遇の生徒が通っていたのです。「ごきげんよう」は、双方の生徒たちが気持ちよく交わすことができるようにと用いられた、相手を思いやる挨拶でした。

出会ったときは「ごきげんいかがですか」(Hello, how are you?)、別れるときは「さようなら、ごきげんよくお過ごしください」(Good bye. Have a good day.)の意味で使われる、とても便利な言葉なのです。

 

 

大妻多摩ではこの「ごきげんよう」を世界に広げたいと考えています。

 

 中3修学旅行(広島)17歳で故郷の広島県世羅町の母校川尻小学校の代用教員となったコタカ先生が、さらに勉強したいと親戚を頼って単身上京したのは、今から100年以上前の1902年のことでした。当時はインターネットも飛行機もない時代です。広島から東京まで列車でなんと15時間以上もかかりました。裁縫の教員免許状をもってはいたものの、若いコタカにとって上京するということは、海外に留学するほどの大冒険だったでしょう。狭い故郷を飛び出して、社会に貢献したいというコタカの信念と情熱は、大妻多摩にも息づいているのです。

 

ここに大妻多摩の「グローバル化」の原点があります。

 

では、最近よく耳にする「グローバル化」とはどういう意味なのでしょう。いまさら人に聞けないと思うかもしれません。ここでわかりやすく説明しましょう。

 

 英国セミナー「グローブ」(Globe)とは「地球」のこと、「グローバル」(Global)とは「地球規模の」という意味です。そして「グローバル化」(Globalization)とは、情報通信技術や交通手段の発達によってさまざまな分野で国と国との境目があいまいになること、つまり世界がひとつになり異文化交流が日常的になることを意味します。日本における海外との交流といえば、遣唐使の時代から明治維新後の西洋化に至るまで、歴史上何度か繰り返されてきましたが、「グローバル化」は1970年代から政治・経済・文化などのあらゆる分野で使われるようになった用語です。特に近年の急速な情報化や技術革新は、わたしたちの社会に大きな変化をもたらしました。

このボーダレスな「グローバル社会」では、地球規模で人と物の交流が盛んになるとともに、人間しかできないと思われていた仕事がロボット(人工知能)や機械に取って代わられます。

 

 文化祭みなさんもお寿司を握るロボットや病院や施設で活躍する介護ロボットなどの映像を見たことがあるでしょう。いま就きたいと思っている職業も、みなさんが大学を卒業するころにはコンピュータが代わりにやっているかもしれません。それぐらいグローバル化、IT化は急速に進化しているのです。

とくに教育の分野では諸外国との教育的交流や協力、グローバル化に対応できる人材の養成などのさまざまな形で国際化が進んでいます。

 

わたしたちは地球規模で相互の結びつきを深め、異文化との接点は今までなかったほどの規模で広がっていきます。そのために異なる文化や価値観を理解・尊重して受け入れるための寛容さが必要になってきます。

 

ではこのグローバル社会を生きる私たちはこれから何をしなくてはならないでしょうか。またどのような能力が必要なのでしょうか。

 

1 英語コミュニケーション能力

 ブリジディーン自動翻訳機が発達するとはいえ、まず必要となってくるのは「高い英語力」です。欧米はもちろんのことアジアの人たち同士で話す場合も共通語は英語です。この英語力とは、学校英語を超えた「英語コミュニケーション能力」をさします。いいかえれば、自分の考えを相手に適切に伝えると同時に、相手の意見を聞いて理解し、それに対して適切な解決策を提示できる能力のことです。語彙を増やし、文法を学ぶことは当然ですが、主語を明確にする、Yes、Noをはっきり言う、結論を先に述べるなどの英語特有の思考様式を身につけなくてはなりません。

 

モスク見学ひとつわからない単語が出てきたら全部わからないではなく、前後関係から類推する能力も大切です。文脈全体からどのようなことが言われて(書かれて)いるのか、短い言葉でまとめたり、あるテーマに沿って議論する力も必要です。

またグローバル社会では、自分の主張を相手に納得させるためのプレゼンテーション力も不可欠です。日本語でも英語でも、日頃から自分の意見をまとめて声に出して発表する習慣を身につけましょう。

 

英語を学ぶ前に、伝えたい内容をきちんと持てる人になることが重要なのかもしれません。

 

2 異文化を理解する力

「グローバル社会」では、英語コミュニケーション能力と並んで、異文化を理解する力が必要です。と同時に、私たちはまず日本人としてのアイデンティティをしっかり持たなくてはなりません。

 

ブリジディーン大妻多摩では、中学では広島、高校では奈良と京都というように修学旅行先を日本国内にしています。それは日本文化の知識習得を重視しているからです。また茶道や書道などを授業に取り入れ、ひな祭りのような伝統的な祭祀(行事)を大切にしています。

 

 

 高2修学旅行(京都)みなさんは日本語と日本の歴史を深く学びながら、日本人特有の習慣や考え方を外国の人々に正しく説明できますか? また地球温暖化、絶滅危惧種、貧困や飢餓、紛争や戦争、教育問題など、世界各国の諸問題について正しく理解していますか?

 

 

 

異文化の相手と具体的な話をするときには、日本的な概念的・情緒的な展開ではなく、論理的に相手を説得できる能力が問われます。

 

 お雛様の会大学を卒業して国際的に飛躍する「グローバル企業」に就職すると仮定しましょう。そのときには自分から課題を見つけて目標に向かって取り組んでいくようでなくてはなりません。情報を収集して分析し、明確な自分の考えとしてまとめ、それを基に論理的に相手を説得できなくてはビジネスの世界では通用しません。そのために中高のときから幅広く異文化を学び、それについて深く考えるとともに、順序だてて論理的に説明できるよう心がけましょう。

 

3 共生と寛容

多様化する世界では、異なる文化や価値観をもつ人々が、互いの文化的差異を受け入れ、互いに尊重しながら、新たな関係を築く必要があります。

この考え方を「多文化共生」といいますが、私たちは異文化と出会ったときに自国の文化を再認識するとともに、異文化を受け入れる寛容さ、相手を思いやる気持ちがなくてはなりません。

 ブリジディーン英国への英語研修やドバイでの異文化体験、またターム留学などその土地の人々の文化と習慣に触れる留学体験では、語学力の向上とともに、ものごとを多面的にとらえる視点が養われます。ホームステイ先ではその家庭特有のルールがあるでしょう。またさまざまな国の学生と寮生活をともにするときには、思いがけない文化の違いや意見の食い違いなど、予期しないことが起きるかもしれません。国際文化を学ぶときに必要なもの、それはその場の状況に合わせて臨機応変に対応する力と、異文化に対する柔軟な姿勢と順応性です。

これからのグローバル社会を生きるために、英語力以外のコミュニケーション力、プレゼン力、論理的思考力と社会適応力は、みなさんが成長する上で、あるいは学校生活を送る上で不可欠な要素です。大学を卒業したその先の将来を見据えて、社会に出たときにグローバルな視点が持てるように、若い柔軟な心を持っている今から心がけてください。

 体育祭大学卒業後、社会に出たとき、どうしたらこれからのグローバル社会で人の役に立つことができるか、異文化の人々に対して共感と思いやりの心を持つことができるか、考えてみてください。これこそ「世のため、人のために活躍する女性」の育成を願った大妻コタカ先生の建学の精神です。先生はまさにグローバル化の先駆けといえるのです。大妻多摩で自分磨きをして自信をつけましょう。みなさんの活躍する場は日本だけでなく地球です。大妻多摩でしっかり学び、「地球共生人」をめざしましょう。