大妻多摩中学高等学校

【校長室より】村中みんなで

『村中みんなで』 “It takes a village to raise a child.”

「一人のこどもを育てるには村中みんなの協力が必要だ」。これは2016年アメリカ大統領選に民主党から出馬したヒラリー・クリントンが、1996年のファーストレディ(大統領夫人)時代に出版した家族論、子育て論。全米ベストセラーズ10週連続ランクインしたほか、グラミー賞朗読賞も受賞した一冊です。

村中みんなで

タイトルにもなっているこの一文はアフリカの諺であり、こどもは自分ひとりの力で生きていくのではなく、彼らの家族が健康で栄え、社会全体がこどもたちを十分に愛してこそ元気に育つという意味なのです。かつての「村」は統治する長のもと、いくつかの家族が共に働き共に生活をしながら集団でこどもを育てていましたが、現代の「村」には境界線が失われ、メディア、コンピュータ、携帯、ファックスなどのテクノロジーが「グローバル(地球規模)な村」を結び付けています。家族関係そのものが多様化しているアメリカでは、かつての「村」のように、人間的なかかわりがこどもの成長に欠かせない、どんなにテクノロジーが進化しても、自分のこどもであれ、他人のこどもであれ、人間以外にこどもを健全に育てることはできない、とヒラリーは言います。
第三章は“Every Child Need a Champion”(「どんなこどももチャンピオンが必要」)、この「チャンピオン」という単語は2016年の大統領選出馬の際にも使われた言葉です。

第42代アメリカ大統領ビル・クリントンのファーストレディであるヒラリー・クリントンは、2008年の大統領選に出馬、オバマに敗れますが国務長官として一期を務め、このたびの大領領選では民主党から出馬、3月1日のスーパーチューズデーで圧勝、7月の党大会に向けて躍進していますが、彼女が出馬の際に使った文章にもこの「チャンピオン」という単語が使われています。

“Everyday Americans need a champion , I want to be that champion so you can do more than just get by.”

ここで使われている「チャンピオン」とは勝者の意味ではなく、「擁護者」という意味です。「誰かの代表となって、その人たちを守る人」という意味です。「普通のアメリカ人はチャンピオンを必要としている。わたしはそのチャンピオンになりたい。そうすればみんなは今よりもっと良い生活が送れるでしょう」。アメリカ史上初の女性大統領の誕生までにはまだいくつかの問題がありますが、教育や福祉、子育て面では大きく進化することは明らかです。対日本外交がどうなるのか、大統領選の行方から目が離せません。