大妻多摩中学高等学校

Ms. Yamane Down Under〔第8回〕

Ms.Yamane Down Under

第8回「アボリジニの文化」 

 私が住んでいるウロンゴンの街には、収容人数500人ほどの劇場があります。先日、ここでBangarra Dance Theatre(注1)という団体の全国ツアーが行われたので見に行きました。

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街のパフォーミング・アーツ・センター


 Bangarra Dance Theatreのパフォーマーは全員、オーストラリアの先住民(アボリジニもしくはトレス海峡諸島民)の血をひいています。踊りと歌から成る彼らのパフォーマンスは現代における先住民文化 (contemporary indigenous culture)(注2)を反映していると言われており、とても力強くしなやかで神秘的でした。私が見た作品では、外界からの変化による様々な困難にさらされても強く前向きにあり続ける人々や自然の姿が描かれていました。映像を見てみたい人のために、ホームページのアドレスを紹介しておきます。

 

Bangarra Dance Theatreの学校向けのページ

(www.bangarra.com.au/education-resources)

 

さて、彼らの作品はオーストラリア各地の先住民の生活や民話、音楽や舞踊をモチーフとしています。アボリジニの人々は文字を持たなかったため、音楽、踊り、絵画などの芸術表現は宗教的儀式や知識の伝承において非常に重要でした。絵のテーマは様々で、実際の生き物や人間だけでなく架空の生き物や抽象的なデザインなども描かれています。以下の岩壁画の写真を見てください。丸い記号は「水がある場所」を示す暗号だそうです。

 

 

アボリジニの岩壁画。水を表す記号に注目!

 

上の写真ように自然のなかで生きるための重要な情報を含む絵もあれば、「ドリームタイム」と呼ばれるアボリジニの独特な世界観を表す絵もあります。ドリームタイムとは、アボリジニの天地創造の神話です。ドリームタイムの内容は各地域によって異なり、儀式舞踊や歌、岩壁画や樹皮画として伝承されています。これらの「アボリジニ・アート」は現在高く評価されており、現代の芸術作品に多くの影響を与えています。

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街の噴水(アボリジニ・アートを取り入れている)

 

現在は、アボリジニの文化を守るために、彼らの言語を保護する活動も盛んです。ヨーロッパ人の入植時、アボリジニの言語は200種類以上ありました。しかし、現在も使われているのは145語ほどで、さらにそのうちの110語ほどが消滅の危機に晒されていると言われています。個人のアイデンティティーを形成するだけでなく、伝統・文化を伝承するための重要な手段である言語を守ることは文化を守ることにもつながるのですね。


注1 theatreはイギリス英語の綴りです。(アメリカ英語はtheater)
注2 contemporary「現代の・当代の」、indigenous「ある土地に固有の」です。せっかくなのでぜひ覚えてみましょう。


 ※この連載で使用している画像は、山根本人が撮影した写真か、bing.comで「無料で共有および使用」もしくは「無料で変更、共有、および使用」のライセンスフィルターをかけて検索した画像です。