大妻多摩中学高等学校

イスラム教の行事③【ラマザンとイフタル】

イフタールについてお話しする前に、トルコではどのくらいの人がきちんと断食をしているのでしょうか?
トルコはイスラム世界では珍しくかなり政教分離がなされています。そんなお国柄ですから、断食をする人の率はそれほど高くありません。イスタンブールでも日中オープンしているレストランは多く、お酒も飲めるところもあります。トルコは信仰の自由があるので、断食をする、しないは本人の意思次第なのです。断食をしているのは主におじさんたちだそうですよ。

けれども、やはりラマザン期間中はラマザンの雰囲気になります。
テレビ番組はラマザンに関連した番組が多くなり、毎日のように学者や導師(イマーム)が登場してはイスラムの教えについて語ります。そしてテレビ画面の一番下にはトルコ国内各都市の日没の時間が表示され、イスタンブールやアンカラといった大都市の日没時間になると、テレビではエザーン(礼拝の呼びかけの朗誦)が流れます。これを合図にようやく食べ物を口にできるわけです。(同じように日の出前もテレビ画面に各都市の日の出時間=断食開始時間が表示され、エザーンが流れます)
同居人のAliさんとエザーンを合図に遅い夕食をとることもあります。

この日没後の夕食「イフタール」は、食べきれないほどの盛大なご馳走を並べ、夜遅くまで家族や仲間とワイワイやりながら食べます。イスタンブールの広場や公園や埠頭といった広い場所では、各自治体がテントやテーブル席を数多く設営して、イフタールの会場とします。イフタールは貧しい人々や恵まれない人々への施しの意味もあるため、食べ物はすべて無料で、ムスリムじゃなくても、どの宗教の人が参加してもかまいません。イフタールの会場では日没の一時間以上前から並んでいる人たちもいます。

タクシム広場の会場でイフタールを待つ人々
タクシム広場の会場でイフタールを待つ人々

 
今年のラマザン初日、ベイオール市がタクシム広場に作ったイフタール会場では3,000人がイフタールに参加しました。参加したのはイスタンブール県知事、イスタンブール市長、イスタンブールのイスラム導師、それに加えて正教会指導者やユダヤ教指導者(ラビ)、報道関係者や市民たちです。県知事は「宗教の違う人々が同じ食卓で食事をするのは良いことだ」とコメントし、またベイオール市長も「宗教の違う人々が幸せに暮らしているのがベイオール市の特徴である」と話しました。ここからもイスラムが非寛容な宗教ではないことが分かります。

ラマザンは断食をするので痩せるのでは?と思う人もいるかもしれませんが、実はラマザン期間中はダイエットには一番向かない時期です。イフタールで夜遅くまでたらふく食べ続ける上に、夜明け前には断食に備えてまた朝食をとるのですから。毎年、ラマザンの時期には「急いで大量の食物を食べると、血糖値が上昇しますので注意しましょう」といった警告も出たりします。
またラマザン中は、夜遅くまで「食べる」だけではなく、遊園地が深夜営業をしていたり、特設ステージでコンサートが開かれたり、公園では子供たちが深夜までブランコやすべり台に群がっていたり、モスクは特別ライトアップされていたりと、とても楽しい時期でもあります。まさに『飛んでイスタンブール』の「夜だけの パラダイス~♪」ですね。(ふ、古い…)

ブルーモスク前の広場も華やかな雰囲気
ブルーモスク前の広場も華やかな雰囲気