大妻多摩中学高等学校

【教員つれづれ草】第222段

 隣り合った人々が平和に暮らしているのは、人間にとってじつは「自然な状態」ではない。〈……中略……〉いつも敵意で脅かされているのが「自然な状態」である。だからこそ平和状態を根づかせなくてはならない。

(池内 紀・訳 カント・著『永遠平和のために』集英社より)

 この文章を初めて読んだ時、ほんの少しだが衝撃を受けた。なぜか。私は平和に暮らしていることが「自然な状態」だと思っていたからだ。しかし、哲学者カントはその逆を指摘する。
 ここから何を学ぶ必要があるのか。残念ながら、人と人、国と国というものは利害のぶつかり合いを避けることはできない。このことをしっかり認識したうえで、油断してはならないということではないか。
 永遠に平和を維持していくためには、さまざまな敵意があることを忘れず、積極的に「平和」を根づかせなければならないのだ。そのために日本国として何ができるのか。

 「憲法9条を維持すべきか、改めるべきか」という対立軸はこの一点にかかっているのではないだろうか。

 朝読書期間の一冊として、上記の本を手に取ってみてはどうだろう。中高生向けにやさしく書かれている。

井の中の高野聖