大妻多摩中学高等学校

【教員つれづれ草】第214段

After the ceremony  卒業式の夜、学園通りで

 

3月17日(木)、春らしい陽光の中、平成27年度の卒業式が行われました。この卒業式の夜は、ここ何年か毎年同じような光景を見ていることに気がついた。毎年、この時期は入試広報関係のたくさんの原稿締切に追われ、卒業式の後もいつもと同じ時間まで仕事をしてから帰宅する。学校は特別な日のため遅くまで残っている者も少なく、いつもの時間なのに静寂が学園通りを包んでいる。

一人、すっかり暗くなった学園通りを歩いていると、つい数時間前の卒業式の光景が鮮やかによみがえる。「ここに卒業生たちが並んでいた」、「あの子が満面の笑みを浮かべていた」など、明るい日差しの中、卒業式の会場に入る前に学園通りに整列していた3年生たちの素敵な顔が思い出される。「そういえば、昨年もそうだったな」、「あれ、一昨年はどうだったかな」、「あの子が何年前で…」と、本当に様々な卒業式の光景が思い出される。卒業していった生徒たちの顔がよみがえる。静かなはずの学園通りに、彼女たちの屈託のない笑い声さえ聞こえてくるようだ。

そうだった。ちょうど一年前も、こんな学園通りを私は歩いていた。いや、その前もそうだった。でも、卒業していった彼女たちの、あの姿は私の思い出の中でしか見ることはできない。その内、この記憶も薄らいでいくのだろうか。そう思ったら、時間の無常さと大切さが心にしみる。少し感傷的になる。寂しく思えた。

ちょうど式場入り口を過ぎたところで振り返り、「卒業おめでとう」と暗い学園通りにつぶやいてみた。そして、前を見る。あと一月もしないうちに、今度は新入生たちがこの学園通りにやってくる。真新しい制服に身を包み、この同じ式場の入り口にやってくる。新入生たちは、この学校でどんな物語を作っていくのだろう。そして6年後、どんな思いを胸にこの学園通りに並ぶのだろう。少し心が和んだ。「来年もこんな気持ちで学園通りを歩くのかな。あと何回かな。」と考えながら、少し軽やかになった足取りで家路についた。

平成27年度卒業生のみなさん。お元気で。たくさんの温かい別れの言葉を大切にします。

さようなら。ごきげんよう。

伊藤 正彦