大妻多摩中学高等学校

第205段〔退任の挨拶に代えて-黒田佳樹〕

 「君たち女子高校生の中に平成の新しい日本を創る坂本龍馬、西郷隆盛、大久保利通、伊藤博文がいる!!!」

 

平成23年度3学期(平成24年1月)始業式での講話を退任の挨拶の代わりとします。実はその1年前に同じような話をしました。生徒の皆さん(高校生)の前でほぼ同じ話を足かけ5年で3回するわけです。教師の(悪しき)特徴に同じ話を繰り返すというのがあります(笑)

さて大妻先生の語録の中で、「理想は高遠に、実行は足下から。」というお言葉があります。今日は「理想は高遠に」の部分について少しお話をします。私なりに解釈すると、「理想は高遠に」は「将来を見通しなさい」と言い換えても良いかと思います。将来を見通すためには過去と現在を認識することが大切です。

昨年の3学期の高校朝礼で日本の近代は明治維新から40年周期で繰り返されているというお話をしました。高校2年生、3年生は覚えているでしょうか。2004年に出版された半藤一利さんの著作から紹介させて頂きました。半藤さんは1930年生まれですから今年82歳です、文藝春秋という出版社に長く勤務されたあと作家になった方です。最近では昨年暮れに上映された映画「山本五十六」の監修をされました。
高校1年生は昨年の話しを聞いていないので少しおさらいをします。

最初の40年 1867明治維新~1905日露戦争終結 38年
※国家建設、不平等条約の解消
次の40年 1905~1945第2次世界大戦終結 40年
※中国侵略、朝鮮併合、帝国主義
次の40年 1945~1989バブル経済の崩壊 44年
※経済復興
次の40年 1989~2012~2029(平成41年)
※不良債権処理の失敗、国家経済の無策(国債発行残高はやがて1000兆円)
※2001 911テロ
※2008 リーマンショック(世界の経済を破壊、影響は現在も)
※2011 311東北大震災

 

建設と破壊の周期が見事なまでに40年です。この周期で言うと日本という国が上向きになるのはあと17年後になります。

さて現在の日本と世界の状況ですが、政治・経済で明るい話題は少ないです。加えて昨年は東日本大震災という大災害もありました。それに加えて原子力の問題も今後の重大な問題として国民全体で考えていかなければなりません。ただ2012年という年は今後の日本と世界の方向を決める様々なイベントがあります。アメリカとロシアで大統領選挙があり、中国は秋に国家主席が交代する予定です。

また現在の日本を第3の開国と言う人もいます。このまま何もしないと日本という国がだめになってしまうと言うことでしょうか。皆さんはまだ高校生で手厚く学校や家庭で保護されているので、現在の日本と世界の混沌たる状況がぴんとこないかもしれません。しかし例えば、高校3年生はあと3年で就職活動が始まります。いきなり世界という荒波に飛び込まなければなりません。今から心構えの準備をしても早すぎることはありません。そのためには何をすればよいのかですが、まだ生徒・学生の身分では何か特別なことをするわけにはいかないですが、とにかく世の中で起こっていることを良く観察してください。そしてそれを自分なりに解釈してください。そして出来ることから行動に移してください。

しかし見方を変えると実は皆さんは、これからの日本をしょって立つ、時代の最先端にいるのです。今ここにいる皆さんの中に将来の日本をしょって立つ、平成の坂本龍馬、西郷隆盛、大久保利通、伊藤博文がいるかもしれません。男の私が言うのも変ですが、さらに言えばこれからの日本は女子の時代です。 今までの男性上位の行動を見てくると、とにかく男は戦争をします。権力と利権のムラを作ります。世界を見渡してみても男たちが作ったシステムはどうもうまくいかなくなったようです。それに比べ女性はギリシャの時代から平和指向です。アリストパネスの「女の平和」を思い出して下さい。がんじがらめのしがらみの中で動きのとれなくなった男たちよりも柔軟な発想を持つことが出来ます。繰り返しになりますが、これからの時代は女子の時代です。右肩上がりの安定志向ではなく大いにチャレンジして下さい。これからの約20年間皆さんの活躍を心より祈念します。

最後に、「実行は足下から」ですが、高校3年生はこれからいよいよ受験です。風邪を引かず、最後の1秒まで粘って最善を尽くしてください。今は不安でいっぱいでしょうが皆さんの先輩もこの試練を立派に乗り切りました。皆さんもきっと乗り越えることが出来ます。これが大妻の底力です。また高1、高2の皆さんも4月には学年が一つ上がります。今年1年を先輩たちに倣って充実した1年を送って下さい。

※時間表示は平成24年1月当時のものです。

英語科 黒田佳樹 平成27年3月31日退職