大妻多摩中学高等学校

【校長室より】AIって何?

AIって何?

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2015年にオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン教授が、今後10年から20年のうちに今ある職業の半数がAIに代わられると発表して以来、こんな職業がなくなって、あらたにこんな職業が生まれるとか、人間はAIに支配されないようにするにはどのような能力を身につけたらよいかなど、さまざまな議論がなされています。AIとはArtificial Intelligence(人工知能)のことですが、いったいどのようなものを指すのでしょうか。

広辞苑第7版によれば、AIとは「推論・判断などの知的な機能を備えたコンピュータ・システム。(中略)知識ベースを自動的に構築したり誤った知識を修正したりする学習機能をもつものである」とあります。つまり人間のようにものを考え、学習機能をもつコンピュータと考えてよいのでしょう。資料を調べていくと、人間の知的活動のできる、つまり知識があるようにみえる機械のことを指すようです。AIは大量のデータを高速処理して、大量の動作をプログラミングしながら機能しますが、現在私たちの生活に応用されているものには、音声認識や画像認識、ゲームや情報検索、データ構築、そしてロボットがあります。

2001年に公開されたスピルバーグ監督製作の『A.I.』には、子どもの姿をしたロボットのデイヴィッドが登場しますが、この映画以来、家事をこなすロボット『アンドリュー』(2009)、スノーマンのような『ベイマックス』(2015)に至るまで、人間の感情をもって成長する人型ロボットがAIと同一視されたようです。ネコ型ロボット「ドラえもん」は22世紀の未来からやってきたロボットですし、1952年から『少年』に連載され、のちにアニメ化された『鉄腕アトム』は、21世紀の未来を舞台に、核融合をエネルギー源として動くロボットです。

映画やテレビにおけるAIとロボットはほぼ同じと考えられるかもしれませんが、そこには根本的な違いがあります。AIは人間の脳のようなニューラル・ネットワークを利用して自ら学習し、その行動レベルを上げていくのに対して、ロボットは前もってプログラムされた動作を正確に行うことしかできません。つまりロボットは自らの判断では決められた以上のことを行うことは無理なのです。

大妻多摩のペッパー君はAIを搭載しており、感情を持つロボットとして知られています。外部の環境の変化によって感情も変化し、部屋の明るさによっても感情が変化したり、相手や周りの状況に反応して疑似的な感情を表現したりするということです。

もともとロボットという名称は1920年にチェコスロバキアの小説家カレル・チャペックの戯曲『R.U.R(ロッサム万能ロボット)』に初めて登場し、のちに1950年にアメリカの小説家アイザック・アシモフが『われはロボット』で「ロボットは人間に危害を与えず、人間からの命令に従う」などのロボット原則を発表しました。 AIという用語が作られたのは1956年ということですから、それよりはるか前に「ロボット」という名称があったのですね。ちなみにロボットとは人間の代わりに何か作業をする装置ですから、床の上の障害物をうまく回避して掃除をし、終了すると勝手にドックに入って充電できる「ルンバ」もお掃除ロボットと言われるのです。さて人型ロボットに似たいくつかの呼称について触れますと、「サイボーグ」とは体の一部が人工的装置に置き換えらえれた「改造人間」、「アンドロイド」とはandoro(人間)+ido(~に似た)という意味で「人造人間」と訳されます。
ところで1963年にアニメで登場した「鉄腕アトム」の主題歌の作詞は誰だか知っていますか?

空を超えて ラララ 星の彼方
ゆくぞ アトム ジェットの限り
心やさし ラララ 科学の子
十万馬力だ 鉄腕アトム

アトムもこの主題歌も中高生の皆さんにはあまりなじみがないかもしれませんが、作詞はなんとあの谷川俊太郎さんなのです。そしてこの主題歌はJRの高田馬場駅の発車音。「なぜ高田馬場?」と思う方もあるかもしれませんが、高田馬場とは「手塚プロダクション」と、アトムの所有者お茶の水博士の勤務していた科学省のある場所だったのです。(注:交通事故死した息子の身代わりとして天馬博士がアトムを製作するが、人間のように成長しないことからサーカスに売り飛ばし、その後アトムの能力に気付いた御茶ノ水博士に引き取られる。)アニメ版が放映された当初、手塚治虫氏が直接谷川俊太郎さんに歌詞を依頼したものだとか。国産アニメとして日本で初のテレビ作品となった『鉄腕アトム』はこの主題歌と共に一躍国民的アニメになりました。

東京大学の入試に挑戦した「東ロボ君」やチェスや将棋で人間を打ち負かすロボット、ホテルのコンシェルジュのロボット、海外からの旅行者をもてなす通訳ロボットなどさまざまなAIを搭載したロボットが登場していますが、人間はこれらのAIをうまく使いこなして、新たに生まれた職業に挑戦してもらいたいものです。