大妻多摩中学高等学校

【校長室より】21世紀の大妻コタカ

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あけましておめでとうございます。新しい年の皆様のご多幸を心よりお祈り申し上げます。
さて大妻学院は昨年創立110周年を迎え、大妻多摩高等学校も創立30周年を迎えました。
2019年は大妻多摩中学高等学校にとりましても新しいスタートの年となります。ここで改めて創立者大妻コタカの人となりと建学の精神について思いをはせてみましょう。


大妻多摩中高のミッションは「21世紀の大妻コタカ」を育てることです

大妻コタカ

広島県の山村(現世羅町)に生まれた大妻コタカは、自宅から尋常小学校まで、山道を徒歩で約一時間かかって登校したといいます。尋常小学校では男子に負けまいと猛勉強し優秀な成績を修めます。先生から下級生への教え方がうまいとほめられたコタカは、高等小学校(現在の中学校に相当)卒業後、17歳で母校の教員になりますが、得意だった数学の勉強をしようと単身上京を決意するのです。今から120年近く前、生家から広島駅までは徒歩や人力車で5~7時間かかり、さらに東京までは鉄道で何と30時間以上かかりました。新幹線もインターネットもない時代、広島や大阪ではなく学問や文化の中心である東京で勉強したいと思ったコタカには先験の明があったと言えるでしょう。まだ機械工業による大量生産が普及していない時代、女子が仕事を得るには得意な数学より裁縫技術を磨くことが手っ取り早い手段だと考えたコタカは、学校に通ってみずからが技術を修得したあとは、女性の経済的自立を願って1908年裁縫の私塾を始め、これが大妻学院の元となりました。明治・大正期には、女性の地位向上と自立を願い東京には何校も女子教育機関が創立されましたが、昼間働いている女子のために日本初の夜学を開設したのもコタカでした。夫の死、3度の校舎焼失、戦後の公職追放という苦難に見舞われますが大妻学院はさらなる発展をしました。

コタカのパイオニア精神、災難をものともしない不屈の精神、そして全財産を学院に寄付し生涯を教育に捧げた無私無欲な生き方は、学院の建学の精神に生き続けています。コタカを突き動かしたのは学ぶことの楽しさと人に教えることの喜びでした。自身はリケジョながら、次代を担う女子にキャリアを持つことによる経済的自立の大切さを教えたコタカは、100年後の現代をも見据えることのできた「肝っ玉母さん」にして優れた教育者でした。創立者の志を受け継いだ大妻多摩中高のミッションは、「21世紀の大妻コタカ」を育てることにほかなりません。

それではここで改めて、これからみなさんが迎える未来社会はどのようになるのか、今盛んに言われている2020年の大学入試はどのようなものなのか、なぜこのような教育改革が行われるのか、そして機会あるごとにお話ししていることですが、本学ではその改革についてどのように取り組んでいるかの現状について書いておきます。


 

夢と希望にあふれる未来社会では、女子には以下のような力が求められます

AIが人間の仕事に取って代わり、人間の仕事がなくなると言われますが、果たしてそうなのでしょうか。確かに今までの誰もが経験したことのない予測不能な未来が待っていると言われますが、AIができることと人ができることを比較してみれば、それほど心配することはありません。

茂木健一郎は『人工知能に負けない脳――人間らしく働き続ける5つのスキル』でAIと人間の能力を比較しています。
 

AI(人工知能)が人間に勝る力 人間がAIに勝る力
①計算力
②書類作成
③データ検索&解析
④記憶力
⑤オペレーション業務全般
①直感やセンス
②コミュニケーション
③発想、アイデア
④身体性
⑤イノベーション

 

理科実験風景

 
茂木は人間がAIに勝る5つのスキルを挙げ、「脳力」を高めることによってこれからの未来がもっと輝くと書いています。

AIは記憶力抜群でたちどころに計算し、書類作成やデータ処理能力は人間をはるかに超えます。しかし直感やセンス、発想力やアイデアは人間ならではの力ですし、コミュニケーションをとって成長するのは人間なのです。

さてここからが大切です。この5つのスキルは女子の得意分野ではないでしょうか。人生100年といわれる現代、これからの女子に求められる力は次の5つに集約されると思います。

  1.  高い学力
  2.  学び続ける忍耐力
  3.  仕事を続ける強い意志と柔軟性
  4.  女性ならではのリーダーシップと社会性
  5.  豊かな人間性

生徒のみなさんは自然に囲まれた広大なキャンパスで、中学1年から高校3年までの6年間を女子だけで過ごすことになります。日々の学習はもちろん、体育祭・文化祭・合唱祭という三大行事、そして部活に至るまで下級生と上級生の絆は強く、チームワークや連帯意識が養われます。一生の親友が見つかるのもこの中高時代でしょう。学校行事ではおのおのの得意分野が生かされ、将来社会に出たときに必要になるリーダーシップが培われます。大学合格だけが中高のゴールではありません。その先の社会に出てからこそ中高の教育が生きてくるのです。

多摩中高には部活を指導したり先生を訪ねて来校する卒業生がたくさんいます。後輩の役に立ちたいという卒業生が多数いるのは心強いことです。結婚してもしなくても、結婚すればなおさらのこと、女性には出産・育児、さらに介護などのライフイベントに伴って自らのキャリアを中断したり、思い通りにならないこともあるかもしれません。みなさんには、あきらめずに勉強を続け、再び社会で貢献できるだけの実力と自信をつけてもらいたいと思います。


 

次に、現在進行中の教育改革について簡単にまとめてみましょう。なぜ高大接続改革、新大学入試が行われることになったのでしょうか。

プロジェクト

これからの社会で生き抜くためには、従来学校で教えられていた「知識・技能」に加えて、「思考力・判断力・表現力」と「主体性・積極性・コミュニケーション能力」を今まで以上につけることが求められます。基本的には従来の中高における大学入試に向けた学習の基本となんら変わりはないのです。しかし、なぜ改革といって大騒ぎしているのでしょうか。それは、大学で何かを身につけるか、大学で得た力を武器にして社会でいかに行動し、社会に貢献できるかが問われるからなのです。高大接続というのは、高校までの勉強が、大学とその先の社会と結びつき関連しあっているということなのです。ここでいう社会というのはグローバル社会を意味します。これからの日本人は世界を相手に英語や様々な外国語を使って仕事をすることになるでしょう。これからは大学合格だけが目的ではなく、社会人としてどのように考え、グローバル社会で活躍するかが問題になってきます。

そこで2020年度(2021年度入学者選抜)から高大接続改革による新大学入試が行われることになりました。(2024年度以降の方針については、次期学習指導要領の基づいて2021年度をめどに策定・公表) 新大学入試では以下の結果が評価の対象になります。

① 大学センターによる「大学入試共通テスト」の結果
「大学入学共通テスト」とは、高校における知識・技能を十分に有しているかの評価も行いつつ、思考力・判断力・表現力を中心に評価する。大学入試センターが問題を作成・採点を一括して行う。(マークシートと記述式問題)
② 英語認定試験の結果
③ 個々の大学の個別試験における記述式・論述式試験
④ 調査書、活動報告書(海外研修体験を含む)、各種大会・顕彰などの記録、資格・検定試験の結果、推薦書など
⑤ エッセイ(小論文)、大学入試志望理由書、学修計画書
⑥ 面接、ディベート、ディスカッション、プレゼンテーション

今迄のシステムがすべて変わってしまうわけではなく、試験形態が多様になったということなのです。(具体的なシステムは各大学がアドミッション・ポリシーに従って作成中)

プレテストを経た2021年度共通テストにおけるポイントは以下の通り
① 国語、数学の記述式問題の導入
② 英語の4技能評価(共通テストとセットで行われる「英語認定試験」)
「身近か」で「実際的・実用的」な設定。英文の論旨や言いたいことを把握する力。意見と事実を区別する力。イギリス英語・アメリカ英語・非母語話者の英語に慣れる。リーディングとリスニングの配点は100点ずつ。
③ マークシート式問題の改善
④ 主体性評価の重視
⑤ 調査書の改善→e-portfolioの導入


高大連携教育改革に伴って、大妻多摩中高では以下のプログラムが進行中です

  • 2つの6年プロジェクト(人間関係スキル・キャリアプロジェクトと英語・国際教育プロジェクト)の充実
  • 主体的で対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)型授業。ディスカッション、学び合い(協働)、プレゼンテーションなど
  •  「探究基礎」から「総合的探究の時間」へ。問題発見、調査、ディスカッション、プレゼンテーション
  • 授業のICT化の促進。電子黒板とタブレット導入
  • 中1からスタディ・サプリ・イングリッシュ、高1からスタディ・サプリによる成績診断とテスト、動画視聴による苦手科目攻略
  • 高3受験指導の強化
  • 卒業生・外部講師によるキャリア指導

大妻多摩中高では大妻コタカの建学の精神のもとに、教育改革に向けて邁進します。

 

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